地元・フル規格促進へ来月決起集会
西九州新幹線の武雄温泉(佐賀県)―長崎間が9月23日に開業した。構想から半世紀。長い期間をかけての悲願の実現に地元関係者の多くが喜びの声を上げる。一方、新鳥栖(同)―武雄温泉間の未開業区間のルートや運行方式がいまだ決まらず、「喜び半分」の声も。
長崎市の中華料理店「四海楼」は長崎名物のちゃんぽんを生み出したちゃんぽん発祥の店で有名。店内にちゃんぽんの歴史を記した「ちゃんぽんミュージアム」を併設している。
同店社長で長崎国際観光コンベンション協会副会長を務める陳優継氏は「長崎は定住人口が減少しており、交流人口の拡大が数年前から叫ばれていた。新幹線の開業は大きな力になる」と、その開業に歓迎の意を示す。
「開業日のにぎわいはゴールが見えないコロナ禍の中でも見ていてうれしかった。あとはこのインフラをどう生かすか。今日を機会にがんばろうと皆で話をしたところだ」。
新幹線の開業で新たに駅ができた佐賀県嬉野温泉。同温泉で旅館「和多屋別荘」を経営し、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)会長を務めた小原健史氏は新幹線の開業を歓迎しつつ「喜びも半分」と複雑な心境をのぞかせる。
小原氏は西九州新幹線の全線フル規格での完成を目指す「フル規格促進佐賀県民会議」の会長を務める。
「『3割自治』といわれるが、規模が小さい佐賀県は『2割自治』ぐらいだ。県民の生活を国に支えてもらっている中で、県の今の姿勢はいかがなものか」と、フル規格での全線開業に反対する県の意向に異を唱える。
「いろんな人から『おめでとう』といわれたが、あまりめでたくないのが本音。全線フルの見通しがついて、初めて『良かった』となる」。
小原氏
11月5日は同県民会議と、地元議員らで組織する「佐賀県フル規格促進議員の会」が合同で決起大会を行う予定だ。