観光を通じた持続可能な地域づくりに取り組んでいる農山漁村などを国連世界観光機関(UNWTO)が認定するプロジェクト「ベスト・ツーリズム・ビレッジ」に関するセミナーが10日、オンラインで開かれた。2021年の認定で日本から選ばれたニセコ町(北海道)、南丹市美山町(京都府)と、認定には至らなかったが、UNWTOの支援プログラムの参加地域に選定された美瑛町(北海道)から、認定の意義などが報告された。持続可能性を重視した観光地として国内外での知名度の高まり、住民の地域への誇りの醸成、観光振興への合意形成につながるとの期待が示された。
セミナーの主催はUNWTO駐日事務所、神戸大学大学院国際文化学研究科・地域連携センター。
ベスト・ツーリズム・ビレッジは昨年始まったプロジェクト。自然、文化、産業など地域が持つさまざまな価値を高め、保全する上で、観光を活用していくことが目的。昨年は、世界75カ国174地域の中から、32カ国44地域が選出された。日本からは、ニセコ町と南丹市美山町の2地域。認定地域は、ロゴの使用が認められ、持続可能性を尊重した観光地として国内外にアピールできる。認定地域のネットワークにも参加でき、世界各地の知見を共有できる。
また、認定されなかった地域のうち20地域は、UNWTOが提供するオンライントレーニングや技術的助言が受けられるアップグレード・プログラムに参加でき、日本からは美瑛町が選ばれた。
今年のベスト・ツーリズム・ビレッジでは、観光庁が4月18日、日本からの推薦地域の募集を始めた。締め切りは5月27日。応募できるのは、人口1万5千人以下の地域の自治体、DMO、観光協会など。各国の推薦枠は最大3地域で、UNWTO本部による審査結果の公表は12月の予定。
ベスト・ツーリズム・ビレッジの概要についてUNWTO駐日事務所の和泉宏明企画・渉外部長が紹介。認定に関する評価のポイントは、「自然資源を保全し、観光による環境負荷を最小限に抑えるための施策」「独自性のある文化資源の振興と保全」「観光による地域経済への好影響を与える取り組み」など、持続可能な開発目標(SDGs)の趣旨に沿った項目であることを解説した。
■ニセコ町
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