JTBパブリッシングは1月20日、紀伊國屋書店新宿本店3階のアカデミックラウンジで「るるぶキッチンセミナー第1回『ソバーキュリアス~観光・地域における“飲まない”選択肢~」を開催した。講師は文教大学国際学部国際観光学科専任講師の青木洋高氏が務めた。
ソバ―キュリアスは「sober(シラフ)」と「curious(好奇心)」を組み合わせた言葉で、「あえてお酒を飲まないライフスタイル」として定義されている。自らの意思でお酒を飲まないライフスタイルを選択するというポジティブな概念として、欧米のZ世代を中心に広がりを見せている。近年、日本においても、消費傾向や価値観の変化から若い世代を中心に酒離れの傾向が顕著であり、ビールメーカーなどでもソバ―キュリアスを意識した商品の投入が進んでいる。
青木氏は、若者の「酒離れ」の原因について①「外飲み」から「家飲み」へのシフト②娯楽としての相対的な価値の低下③リスク回避志向の高まり④リアルコミュニケーションの変化⑤コスパ、タイパの悪さーを指摘。一方で、観光分野では外国人に日本酒が大人気であることも紹介した。
また文教大学とJTBパブリッシングの共同調査で、旅先や飲食店において飲酒に関わるストレスを感じた経験がある人が多いことがわかったことも報告。
青木氏は、「ソバーキュリアスに対する認知度は、現在のところ低いものの、ノンアルコール・低アルコールの市場は拡大しており、潜在需要は多い。旅行先で、アルコールメニューと同価格帯のノンアルコールメニューが増えることを好ましいと感じている層が多い」と述べ、観光地や宿泊施設では、今後、ノンアルコールメニューの品ぞろえが重要になってくるかもしれないという考えを示した。
JTBパブリッシングは、旅行ガイド「るるぶ」の編集者が全国各地を旅して見つけた〝おいしい〟を届けるリアル飲食店舗メディア「るるぶキッチン」を2017年に開業。24年11月20日に同店舗が新宿紀伊國屋ビルの「地下名店街」に移転開業したことを記念して今回のセミナーを開催した。
文教大学国際学部国際観光学科専任講師の青木洋高氏