政府の観光戦略実行推進会議の会合が3日、首相官邸で開かれた。新型コロナウイルスの流行で打撃を受けた観光産業や地域経済を支援する「感染拡大防止と観光需要回復のための政策プラン」を決定した。日本人の国内旅行需要を喚起するGo Toトラベル事業の期間延長、旅館・ホテルなどの施設改修への補助制度の創設などを盛り込んだ。施策の詳細を具体化し、今年度第3次補正予算案、来年度当初予算案などに予算を計上する。
政策プランでは、「観光は全国で約900万人の方が従事する産業であり、わが国が観光立国として生きていくためには、まずは、観光回復の大前提となる感染拡大防止策を徹底することが最重要」とした上で、国内旅行の需要喚起、観光産業の再生などに政府を挙げて取り組むことを掲げた。
政策プランの取り組みの柱は、(1)感染拡大防止策の徹底とGo Toトラベル事業の延長(2)国の支援によるホテル、旅館、観光街等の再生(3)国内外の観光客を引き付ける滞在コンテンツの充実(4)観光地などの受け入れ環境整備(多言語化、Wi―Fi整備等)(5)国内外の感染状況等を見極めた上でのインバウンドの段階的復活。
会合での菅義偉首相の発言は次の通り。
◇ ◇
新型コロナウイルスの感染拡大が続いているが、命と暮らしを守るという考え方の下に、感染拡大を防ぐためにしっかり対策を講じた上で、雇用を維持し、事業を継続し、社会経済活動を行っていく、その中で、わが国地方経済にとって不可欠な観光業を支えていく必要がある。
こうした中で、ポストコロナを見据えて、当面、わが国の観光を復活させていくための政策プランを取りまとめた。まずは、感染防止策を大前提としつつ、Go Toトラベル事業を延長し、感染状況や旅行需要の回復の状況を踏まえながら運用を行っていく。
また、内外の観光客が戻ってくることを見据えて、国が前面に出て、ホテル、旅館、観光街の再生を行うため、新たな補助制度を創設する。全国100程度の地域で、それぞれの施設が内外の観光客が楽しめるものにリニューアルし、街中に残る廃屋を撤去し、同じ街の複数の宿が一つのホテルとして運営するような新しい取り組みを短期集中で支援する。
加えて、世界に誇るスノーリゾート、日本独自の食、酒、文化財などを体験できるコンテンツ、いわゆる城泊、寺泊、農村の古民家での宿泊など、上質のサービスや長期滞在のニーズにも対応したコンテンツの開発を支援し、本日取りまとめた政策プランを観光庁を中心に関係省庁が連携して着実に実行し、わが国の観光の回復に政府一丸となって取り組んでいただくようにお願いする。
観光戦略実行推進会議であいさつする菅義偉首相(画像・官邸ホームページ)