行楽シーズンたけなわ。観光地ににぎわいが戻っている。一方で食べ歩き後の容器が路上にポイ捨てられたり、大量に持ち込まれてごみ箱があふれている光景も目に付く。イベント後の会場や商店街なども似たような状況だ。清潔で奇麗な日本のイメージが壊れかねない。景観悪化や安全性の観点などを理由にごみ箱の撤去が進んでいたが、ここにきて街の美化や観光客の利便性向上のために再びごみ箱を設置しようという動きが広がっている。
日本観光振興協会は、観光地の観光客受け入れ環境整備やSDGs(持続可能な開発目標)推進のため、甲府市にある日本遺産「昇仙峡」にスマートごみ箱と呼ばれる新たなごみ箱を、期間限定で設置した。
このごみ箱は「SmaGO(スマゴ)」で、幅と奥行きは約70センチ、高さは約1・3メートル。昇仙峡ロープウェイ乗り場や山頂など3カ所に、各1セット2台の計6台を設置。設置主は甲府観光開発で、12月中旬まで置く。
日観振によると、スマゴはIoT技術を活用したごみ箱で、通信機能を通じてごみの蓄積状況をクラウド上でリアルタイムに把握できる。ごみ箱が満杯になると自動的に圧縮され、通常の約5~6倍の容量、約600リットルの収容が可能という。ごみ箱上部には発電用の太陽光パネルがあり、電気をまかなう。
日観振は、ごみの収集作業を効率化でき、ポイ捨て対策や二酸化炭素(CO2)の排出量削減効果が期待されるとして、「全国展開に向け、各観光地と連携を図って(設置を)進めていく」と話している。
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