観光庁、スノーリゾート活性化へ検討会設置


スノーリゾート地域の活性化に向けた検討会の初会合

スノーリゾート地域の活性化に向けた検討会の初会合

 観光庁は、スキー場など雪を観光資源とするスノーリゾート地域の活性化策について検討を始めた。ピーク時に比べて約4割に減少した国内のスキー・スノーボード人口の拡大、外国人客の受け入れ促進、施設運営や地域開発などの課題を有識者で構成する検討会で議論。夏ごろまでに中間報告をまとめ、各種施策に反映させていく。

 観光庁は1月30日、有識者15人を集めて「スノーリゾート地域の活性化に向けた検討会」(座長=原田宗彦・早稲田大学教授)の初会合を開いた。スノーリゾート地域の振興策を打ち出し、国内、海外ともに観光需要が落ち込む冬季の観光を盛り上げたい考えだ。

 初会合で国土交通省の西村明宏副大臣は「外国人旅行者のスキー・スノーボードに対する関心は高い。雪を中心とした観光資源に磨きをかけ、スノーリゾート地域の活性化に道筋を付けてほしい」と呼びかけた。

 日本生産性本部の「レジャー白書」によると、国内のスキー・スノーボード人口は1998年には1800万人だったが、中長期的には減少傾向にあり、2013年は770万人と推計されている。スキー場の施設数に関する国の統計はないが、全国に500カ所以上が設置されている。

 検討会の初会合では、委員に任命された有識者が、スノーリゾート地域の現状や課題について意見交換した。

 地域の現状では、長野県・野沢温泉観光協会の河野博明副会長が「多くの中山間地がスキーを産業化し生計を立ててきた。国内のスキー人口は減っているが、地域の雇用の場として引き続き重要」。新潟、群馬、長野の3県にまたがる雪国観光圏の柳一成理事は「地元のスキー場では近年、外国人客が倍々のペースで増えている。食の魅力の提案や受け入れ態勢の整備が急務」と指摘した。

 地方自治体からは、長野県の加藤さゆり副知事が「スノーリゾートとしてのブランド力を高めたい」と述べ、県の振興策を紹介した上で、国に外国人客の誘致、ウインタースポーツの普及などで支援策を求めた。岩手県八幡平市の田村正彦市長も、スキー人口の底辺拡大、競技大会の運営などに関して「人材の確保、財源不足が課題。支援措置を講じてほしい」と要望した。

 豪州、アジアの訪日旅行者のウインタースポーツへの関心は高く、すでに北海道のニセコ、長野県の白馬や野沢温泉などは外国人スキー客に人気。日本のスノーリゾート地域が、雪質やコース、おもてなしなどの面で優れた観光資源であるという点で委員の意見は一致したが、施設経営や地域開発などでは多くの問題点が指摘された。

 西武ホールディングスの後藤高志社長は「スキー場は、巨額な設備投資が必要な装置産業で、多くの従業員を必要とする労働集約型の産業。生産性を高めるのが難しい」。日本政策投資銀行企業金融第6部の奥直子課長は「市場の縮小でスキー場、宿泊施設の事業の継続性に問題が出ている」。宮城県蔵王町の村上英人町長は「雇用の維持を含め、グリーン期の集客対策が重要」と指摘した。

 首都大学東京の本保芳明教授も、日本のスノーリゾート地域の潜在的な国際競争力の高さを指摘する一方で、「サービスや事業のあり方が古いままで、マーケティングなどを見直す必要がある。リゾート開発の枠組みがないことも課題。グローバルな視野でサービス、地域開発を考えるべき」と提言した。

スノーリゾート地域の活性化に向けた検討会の初会合
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