観光庁は今年度、ビッグデータと呼ばれる多種、大量なデータ群の分析などICT(情報通信技術)を活用し、訪日外国人の観光動態を調査する。スマートフォン(スマホ)などのGPS(衛星利用測位システム)機能を活用して移動状況を把握したり、SNS(交流サイト)への書き込みから関心事を分析したりする。調査・活用手法を確立し、地方への誘客や地域づくりに生かす。
今年度の調査は、訪日外国人を対象にした(1)携帯端末のGPS機能を活用した流動分析(2)携帯電話の基地局情報などを活用した地域特性分析(2)SNSを活用した意識分析。個人情報の利用には許諾を得るなど配慮し、各種サービス事業者から統計処理されたデータの提供を受けて分析する。
調査手法は今後詰めるが、各調査のイメージは、GPS機能を活用した調査の場合、流動の分析を目的に、スマホに指定アプリをダウンロードしてもらい、位置情報などを取得。移動経路の情報を収集し、広域的な周遊の状況や特定地域内での動きなどを分析する。
基地局情報を活用した調査では、滞在分布の分析が目的。例えば、携帯端末の国際ローミングデータなどを活用し、基地局単位で時間ごとの滞在情報などを把握する。
SNSを活用した意識分析では、関心事や感想などの分析が目的。ツイッターなどから観光に関する投稿を抽出し、地域ごとに関心や嗜好、評判などを分析する。
各調査の実施に向けて観光庁は、2012年度から14年度にかけて国内観光、訪日観光を対象に実証試験的な調査を実施済み。今年度は地域や期間など規模を拡大して調査する。2日には有識者で構成する検討委員会(座長=相原健郎・国立情報学研究所コンテンツ科学研究系准教授)を開き、技術面の確認や調査・分析手法の検討などを行った。