高い認知度も、体験率4%
観光庁はこのほど、コロナ禍や働き方の多様化を踏まえた「新たな旅のスタイル」として推進しているワーケーション、ブレジャーをPRするウェブサイトやパンフレットを作成した。ワーケーションの認知度は高いが、実際に体験したことがある人はまだ少ない。人の送り手である企業、人の受け入れ手である地域、双方の理解や取り組みが進むよう、ニーズや先進事例を紹介している。
ワーケーション、ブレジャーなど、仕事と休暇を組み合わせた滞在型旅行を「新たな旅のスタイル」として普及、促進することで、旅行機会の創出、旅行需要の平準化、地域の交流・関係人口増加などにつなげる。導入企業や働く人にとっても、モチベーションや業務効率の向上、ストレス低減、社会貢献などのメリットがある。
観光庁が昨年12月~今年1月に実施した会社員(回答1万7426人)を対象にしたインターネット調査の結果では、ワーケーションに関する認知率は8割に上ったが、実際に体験した人の割合は全体の4.3%にとどまった。テレワークの実施率32.2%と比べて低いのが実状だ。
ワーケーションに興味があると回答した会社員の割合は、「非常に興味がある」「興味がある」の合計で全体の28.2%。比較的若い世代で、小さな子どもがいる家庭の方が関心が高い傾向が見られた。他方で、職種や仕事内容に対する適性、休暇に対する意識の違いから、ワーケーションに興味がない層も一定の割合に及んだ。
同じ時期に企業(回答266社)を対象にしたアンケート調査も実施。ワーケーションを導入する理由を聞くと、「多様な働く環境の提供」「心身のリフレッシュによる仕事の品質と効率の向上」などが上位。ワーケーションの導入に際して受け入れ地域や施設に整備してほしいことは、「セキュリティやスピード面が確保されたWi―Fi等の通信環境」などハード面への期待が大きかった。
観光庁が受け入れ地域向けに策定したパンフレットでは、企業や会社員の意識などを踏まえ、ワーケーションを誘致する際のポイントや、ハード・ソフト両面の環境整備に関するチェックシートを掲載した。誘致のポイントは、(1)ワーケーションの理解と誘致の目的の共有化(2)推進体制の構築と役割の明確化(3)地域住民の理解や協力を得る努力(4)人材育成と受け入れ環境整備、情報発信―を挙げた。
観光庁のパンフレットで受け入れ地域の先進事例として紹介されているのは、和歌山県▽北見市(北海道)▽下田市(静岡県)▽妙高市(新潟県)▽五島市(長崎県)▽白浜町(和歌山県)▽立科町(長野県)。ワーケーションなどの導入企業として紹介されているのは、日本航空▽ユニリーバ・ジャパン▽野村総合研究所▽日本マイクロソフト▽セールスフォース・ドットコム▽サイボウズ―など。
受け入れ地域向け、企業向けのパンフレットは、観光庁のワーケーション、ブレジャーに関するウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/kankocho/workation-bleisure/)から閲覧、印刷できる。