観光庁は、旅館・ホテルの建物にかかる固定資産税の見直しに向けた実態調査を進めている。このほど旅館・ホテル団体を通じ、全国の宿泊施設約1万8千件にアンケート調査票を発送した。税額の算定基準が建物の使用実態に即しているのか検証するための資料にする。評価基準の見直しを要望してきた旅館団体などでは、実質的な減税につなげたいとして、宿泊施設に調査への協力を呼びかけている。
昨年12月に閣議決定された2011年度税制改正大綱に「実態調査を行うなど、できるだけ速やかに検討する」と盛り込まれた。固定資産税は市町村税だが、総務相が告示する評価基準に基づいている。アンケート調査などをもとにした検討の結果次第では、2012年度の税制改正で評価基準の見直しが決まる可能性がある。
アンケート調査票はほとんどの項目が選択式の設問。鉄骨造や鉄骨鉄筋コンクリート造、木造といった建物の構造をはじめ、建築や建て替えの時期などを聞く内容となっている。税制改正の基礎資料以外に活用されることはないという。回答の締め切りは5月末まで。
固定資産税を巡っては、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本観光旅館連盟、国際観光旅館連盟などが、「旅館業は建物自体が商品である装置産業のため、建物の改装、改築が頻繁に行われ、大変な経費を要する。建物の固定資産税は原則、再調達価格を算出根拠とし、何年経過してもその評価額は下がることなく、税負担が重くのしかかっている」と指摘するなど、実態に見合った見直しを政府や国会議員に要望してきた。