観光庁、立国推進基本計画の素案を公表


 観光庁はこのほど、6月ごろの閣議決定を目指し改定作業を進めている観光立国推進基本計画の素案を公表した。基本計画は政府を挙げて観光立国を実現するための総合プラン。素案では外国人旅行者数2千万人などの目標を掲げた。他の目標の数値は検討中だが、地方の活性化や旅行の質を重視し、都市圏以外に宿泊する割合、旅行者の満足度などに関する指標も設定する。また、国内観光の宿泊旅行回数の目標値には、全体平均だけでなく、“旅行離れ”が指摘される若年層の目標も設ける。

 基本計画は観光立国推進基本法に策定が定められている。外国人旅行者数1千万人などを掲げた現計画は、2007年6月に閣議決定されたもので見直しの時期を迎えた。国土交通省の交通政策審議会観光分科会などで改定に向けた検討が進められている。

 計画期間は5カ年。素案の基本方針では、観光分野を「国の経済成長のけん引役」と位置づけ、外国人旅行者の誘致や国内観光の需要開拓を推進するとした。「オールジャパンであらゆる施策を総動員する」とも明記。

 具体的な目標には、達成の最終年次を2016年とし、16項目を掲げる。このうち主な目標として、(1)国内での観光旅行消費額(2)訪日外国人旅行者数(13年までに1500万人、16年までに2千万人)(3)国際会議の開催件数と外国人参加者数(4)国民1人当たりの国内宿泊旅行の年間回数(加えて若年層の回数)(5)国内観光地に対する旅行者の満足度、再訪意向──の5つの指標を定めている。

 5つの主な目標を含めた16項目の目標には、現計画には明文化されていない目標として、地方の活性化や旅行の質を重視した指標、若年層などの旅行参加に関する指標などを盛り込んでいる。

 外客誘致関係の目標では、国全体の誘致数だけでなく、三大都市圏(東京圏、名古屋圏、大阪圏)以外の地方に外国人が宿泊する割合に目標を設定する。外国人消費動向調査などを基にして旅行満足度や再訪人数にも数値目標を掲げる。

 国内観光関係の目標では、宿泊旅行の年間回数に若年層の目標を定めるほか、年間の旅行回数が0回という層を減らすための指標を設定。国内観光の質についても旅行者の満足度と再訪意向に目標を掲げる。また、三大都市圏から地方に移転する国内宿泊旅行の消費額にも目標を設ける。

 観光庁では、地方自治体や観光業界団体などに要望を聞きながら審議会で再度検討。一般からの意見募集「パブリックコメント」などを経て、5月下旬の審議会で改定計画案の了承を得た後、閣議に諮りたい考えだ。

 
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