観光圏整備法に基づき地域が策定した観光圏整備実施計画の認定について、観光庁は4月22日、知床観光圏(北海道)、びわ湖・近江路観光圏(滋賀県)、平戸・佐世保・西海ロングステイ観光圏(長崎県)など、今年度新たに申請があった14の観光圏を認定したと発表した。複数の観光地の連携を通じて滞在型の観光地づくりを推進する観光圏は、2008年度の認定分と合わせると、全国で30エリアになった。
認定を受けた観光圏は、計画に位置づけた観光圏整備事業について、国からの補助金などで総合的な支援が受けられる。各観光圏の整備事業には、体験型のプログラム開発、二次交通の整備、宿泊の魅力向上、観光情報の発信強化などに関する事業が挙げられている。
今年度の補助事業費は、5億8200万円(調査費含む)。30観光圏のうち、今年度に補助金を受けるのは29観光圏で、新規に認定を受けた能登半島観光圏(石川県)は観光圏整備事業の補助金交付はないが、観光圏整備に連携したハード整備事業や宿泊施設の設備投資に対する財政投融資などは導入が可能だ。
着地型旅行商品を旅館・ホテルで販売できるようになる旅行業法の特例、観光圏内限定旅行業者代理業については、昨年度は5観光圏(雪国観光圏、会津・米沢地域観光圏、富良野・美瑛広域観光圏、にし阿波観光圏、伊勢志摩地域観光圏)が導入したが、今年度は日本海きらきら羽越観光圏(秋田・山形・新潟県)、びわ湖・近江路観光圏が登録のための研修会の開催を計画している。
主な観光圏のコンセプトをみると、知床観光圏は、知床半島周辺の4町が連携し、世界遺産にも登録された自然環境と、観光の共生を図った自然体験型の観光圏を目指す。
新たな青森の旅・十和田湖広域観光圏(青森県)は、十和田湖、八甲田山などの自然と、生活文化を観光客に体験してもらえる観光圏整備を進める。観光圏整備実施計画の認定に伴い活用できる農林水産省の農山漁村活性化プロジェクト支援交付金により、農林水産物直売施設なども整備する。
聖地熊野を核とした癒しと蘇りの観光圏(和歌山・奈良県)は、“健心”“健脚”“健浴”“健食”など健康をキーワードとして首都圏の60歳代、関西圏の30歳代、欧米からの旅行者をターゲットに「癒しと蘇り」の旅を提供する。
平戸・佐世保・西海ロングステイ観光圏は、西海国立公園の自然、農林水産業の体験メニュー、欧米から伝わった文化、離島の魅力などを生かし、滞在型観光の確立を目指していく。