観光庁と農林水産省は、農村地域のグリーンツーリズムの振興に向けて、「ようこそ!農村」プロジェクトを立ち上げる。都市と農村の交流拡大、外国人旅行者の農村への誘致を通じた地域活性化を目指す。今月下旬に観光関係者、グリーンツーリズム関係者でつくる推進連絡会議を発足させるほか、観光圏整備法に基づく観光圏ごとにも連絡会議を設置。体験プログラムづくりや交流施設整備、地産地消の食のメニュー化など、観光関係者と農村地域の連携を軸に新たな取り組みを促進する。
ようこそ農村プロジェクトを推進する連絡会議は、観光庁が今年3月に設置した「国内観光旅行の振興に関する連絡会議」の下に発足させる。グリーンツーリズムの関係団体、観光関係団体、旅行会社らをメンバーとする予定。連絡会議の事務局は、財団法人都市農山漁村交流活性化機構、農水省に置く。
全国30エリアが認定されている観光圏ごとにも、連携の場として「都市農村交流推進連絡会議」を順次設置してもらう予定。観光圏では当初から、農業をはじめ地域の幅広い業種の連携による観光地づくりが期待されている。都市農村間の交流を促進する施設整備などに農水省の交付金を活用できる仕組みも制度化されている。
グリーンツーリズムの推進について、観光庁観光地域振興課の羽矢憲史課長補佐は「観光地づくりはどうしても観光関係者が中心になってしまいがちだが、グリーンツーリズムの振興を通じて、多様な関係者との連携を深めるきっかけにしてもらいたい」と話す。
ようこそ農村プロジェクトの推進に関して農水省、観光庁は来年度予算の概算要求にも関係予算を計上している。
農水省は、農村での旅行者の受け入れ態勢整備、実証実験などを総合的に支援する新規事業として、来年度予算にようこそ農村推進事業費3億7500万円を要求。体験・交流型施設の整備などには農山漁村活性化プロジェクト支援交付金(要求額406億2100万円)の一部を充てたい考えだ。
観光庁も観光圏ごとの整備実施計画に沿って、観光圏整備事業費(要求額6億8300万円)の一部をグリーンツーリズムの振興につながる体験プログラムの開発、宿泊サービスの向上などに充てる。外国人旅行者の誘致に向けては農村の魅力を海外に発信するため、訪日外国人2千万人プログラム(要求額41億700万円)の一部を活用する予定。