観光庁とJNTO、米欧豪に新キャンペーン


新キャンペーンの ウェブサイト

 観光庁と日本政府観光局(JNTO)は6日、欧米豪を主な対象に新たな訪日プロモーション「Enjoy my Japanグローバルキャンペーン」を開始した。欧米豪からの訪日客は年間約300万人、訪日客全体の1割程度にとどまる。成熟した国際観光市場で伸びしろは大きいが、旅行先としての日本の認知度は不十分とされる。あまり知られていない日本の豊かな自然やアウトドア・アクティビティ、現代アートの魅力など、多様な観光資源をデジタル媒体などで発信し、訪日に無関心だった層の旅行需要を喚起する。

 2017年の訪日旅行者数は2869万人、消費額が4兆4千億円でともに過去最高だったが、このうち欧米豪の主要9カ国(米国、カナダ、豪州、英国、フランス、ドイツ、イタリア、ロシア、スペイン)の旅行者数は325万人、消費額は6372億円にとどまっている。欧州からの誘客ではタイや中国にも遅れをとっている。

 旅行者数はもとより、消費額の引き上げを目指す日本にとって、滞在日数が長く、旅行支出が高額な欧米豪からの誘客拡大は課題。アジアを含めた従来型の市場別プロモーションは引き続き強化するが、欧州豪の訪日無関心層をメインターゲットにした新たなキャンペーンを打ち出し、数年間にわたって情報発信を強化する。

 新キャンペーンの開始にあたって特別サイト(www.enjoymyjapan.jp)を開設した。観光庁ではキャンペーンの企画立案のため、欧米豪で大規模なアンケート調査を実施。この結果に基づき、興味・関心別にアピールすべき日本の観光魅力として七つのテーマを設定した。それぞれのテーマでPR動画も作成した。

 七つのテーマは、(1)Tradition(伝統文化、歴史的遺跡・建築など)(2)Cuisine(食事や酒)(3)City(大都市)(4)Nature(自然)(5)Art(芸術、デザイン)(6)Relaxation(リゾートや宿泊施設)(7)Outdoor(アウトドア・アクティビティ)。

 テーマの設定には、富士山、桜、寺社仏閣といった従来の典型的な訪日観光のイメージにとどまらない、日本の多様な魅力、楽しみ方を発信したいという意図がある。これまで訪日旅行に無関心だった層の旅行意欲を喚起するため、個々の興味、関心に応じてテーマごとに観光資源をPRする。

 新キャンペーンについて観光庁の田村明比古長官は、東京都内で6日に開いた記者発表会で、「『わざわざお金と時間をかけて行く魅力はない』という印象を打ち破るためにさまざまな魅力をアピールする。例えば、風光明媚な海や山も、見るだけではなく、サイクリングやダイビング、ラフティング、トレッキングなど、多種多様な楽しみがあり、長期滞在しても飽きない魅力があることを伝えたい」と語った。

 新キャンペーンでは、現地(外国人)目線を重視した情報発信を目指す。PR動画はアンケート調査に基づいてコンテンツを選定し、撮影監督には外国人も起用した。ドイツ、英国、フランス、米国、カナダ、豪州を皮切りにSNS、現地テレビなどでPR動画を活用した広告を展開する。

 デジタル技術も駆使する。キャンペーンサイトは、閲覧者の興味、関心に応じて100万通り以上のパターンで動画が自動組成される「パーソナライズドムービー」という機能を備えている。サイト上でのバーチャルツアー(疑似体験旅行)を通じて多様性に富んだ魅力を認知してもらう。

 キャンペーンのキャッチフレーズに選んだ「Enjoy my Japan」には、二つの意味がある。外国人旅行者が「自分にぴったりの日本の魅力」を発見し、満喫するという意味と、日本側からの「私の大好きな日本」を楽しんでほしいという歓迎の意味の両方を込めた。

コンセプト動画 主な撮影地

 「Enjoy my Japanグローバルキャンペーン」のコンセプト動画の主な撮影地は次の通り(登場順)。

 恩納村(沖縄県)▽春日大社(奈良県)▽城山(静岡県)▽沖縄美ら海水族館(沖縄県)▽琉球温泉瀬長島ホテル(同)▽瀬戸内リトリート青凪(愛媛県)▽直島(香川県)▽日光東照宮(栃木県)▽しまなみ海道(愛媛県・広島県)▽観世能楽堂(東京都)▽鳥取砂丘(鳥取県)▽神勝寺(広島県)▽六本木ヒルズからの夕景(東京都)▽アンダーズ東京からの夜景(同)▽渋谷スクランブル交差点(同)▽みなかみ町(群馬県)▽国営ひたち海浜公園(茨城県)▽嵯峨野トロッコ列車(京都府)▽大山(鳥取県)▽めん馬鹿一代(京都府)▽銀座鮨青木(東京都)▽比叡山延暦寺(滋賀県)▽足立美術館(島根県)▽琵琶湖(滋賀県)▽東京よさこい(東京都)▽宝川温泉汪泉閣(群馬県)▽タカマル鮮魚店(東京都)▽高尾山(同)▽国立新美術館(同)

 

 
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