観光庁の2013年度予算案は、復興庁に計上した観光関係分を含めて、前年度当初予算比1%減の102億3200万円となった。訪日外国人の誘致では、ビジット・ジャパン(VJ)事業に加え、東南アジアからの訪日客を倍増させる「100万人プラン」事業に注力。観光地域づくりでは、地域のブランド化につながる戦略策定や戦略に基づく取り組みに補助金を交付する観光地域ブランド確立支援事業に予算を充てている。
13年度予算案は1月29日に閣議決定。観光庁の予算案は、概算要求額の111億7700万円を下回るが、東南アジア・100万人プランは要求額通り、観光地域ブランド確立支援事業には要求額以上の予算が計上された。
訪日外国人誘致に関する「訪日外国人3千万人プログラム」の予算は、同1%減の82億800万円。内訳はVJ事業が54億9100万円、東南アジア・訪日100万人プランが5億9900万円、訪日外国人旅行者の受け入れ環境整備事業が2億8千万円、日本政府観光局の運営費交付金が18億3700万円。
VJ事業では、東日本大震災や外交関係といった外的要因の影響を受けにくい構造への転換を目指し、個人旅行などの需要喚起を目指す。旅行会社やメディアの招請、航空会社との共同広告、SNSによる情報発信などを強化。MICE(国際会議など)分野では、開催・誘致を目指す都市の取り組みを支援する。
東南アジア・訪日100万人プランでは、訪日客の約7割を占める東アジアへの過度の依存を緩和し、市場を多様化する。対象市場はシンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピン。日本ASEAN友好交流40周年を好機として訪日プロモーションを本格化させる。
「観光を核とした地域の再生・活性化」の観光地域ブランド確立支援事業の予算は3億4300万円。観光圏整備法に基づく観光圏のプラットフォームなどを対象に、国際競争力の高いブランドを地域に確立するための事業を支援。ブランド戦略の策定には上限500万円の補助金を交付、ブランド戦略に基づく事業には費用の4割を補助する。戦略に沿って一定のブランドが確立された観光地域を登録する制度の創設も検討していく。
「観光産業の再生・活性化」では、滞在交流型観光の確立につながる先進的な試みを全国から募集して支援する地域観光環境改善事業に9900万円、地域の大学や他産業の協力を得て宿泊業再生のモデルづくりに取り組む地域宿泊産業再生支援事業に2千万円。
復興庁に計上した観光関係予算は、東北地域観光復興対策事業に1億9900万円、福島県に対する観光関連復興支援事業に3億7800万円。旅行需要を回復させ、継続的な観光振興につながる事業を後押しする。