観光庁は10日、第2回「ロケツーリズム連絡会」を神奈川県藤沢市で開催した。同連絡会は映画やテレビドラマなどのロケ誘致後もロケ地を観光資源として活用し、地域振興を図ることを狙いに、全国の自治体や鉄道、ホテルなどの民間企業やテレビ局、映画配給会社などの制作側の担当者も集まり事例集作りを進めている。第2回目となる今回は約30人が参加。幹事である藤沢市の取り組みを視察し、議論を交わした。
藤沢市は2002年、市役所観光課内に湘南藤沢フィルム・コミッション(FC)を設置。ワンストップサービスを提供する総合窓口を設置し、撮影の支援並びにロケを通じた地域振興や地域経済の活性化を図ってきた。
昨年は全国300館以上で公開され大ヒットした映画「陽だまりの彼女」の撮影が行われるなど、FC設立11年目にして大作の誘致にも成功し、全国の自治体の注目を集めている。
連絡会の前には藤沢市観光課長の赤坂政徳さんをはじめとする観光課とFCの案内により、「陽だまりの彼女」の撮影場所を、ロケ地マップを片手に散策した。撮影支援の裏話や地域住民との連携、撮影場所となった饅頭屋の波及効果などの説明を受けた。同じく撮影に使われた江ノ島電鉄や新江ノ島水族館での視察では、市と民間企業の連携や撮影時間、料金設定などについて、熱心に質問する姿も見られた。
江ノ島で行われた連絡会では藤沢市の成功事例を学ぼうと活発な議論が交わされた。
赤坂課長は「撮影スタッフの中に入り込み、台本を見せてもらうことが重要。脚本のイメージに合うロケ地を提案することで地元での撮影が叶う。受け身ではいけない」と強調。地域との連携については「撮影が始まる何カ月も前から説明を行っていたので、商店街を撮影する際、早朝でも店を開けて協力してくれたり、エキストラも集まった。汗を流してロケを支援することで、市民対象の先行試写会も行えた」と説明。その他にもグッズ作りやロケ地マップ作りなどのノウハウなどを披露した。
その他の自治体や民間企業も受け入れ実績などを発表。
伊豆急ホールディングス観光推進本部観光企画課の遠藤春江さんは、4月に公開される映画「大人ドロップ」の撮影がはじめて伊豆東海岸ですべて行われたと発表。同社ではロケ写真を使ったギャラリートレインの運行やロケ地マップ付きの記念乗車券の販売などを予定している。伊東市や静岡県教育委員会との連携も成功しており、地元では作品の応援隊が結成されるなど、公開前から地域一丸となって、観光客の受け入れ準備が整っている様子を披露した。
「陽だまりの彼女」のロケ地となった「龍恋の鐘」を視察