国際線拡充、訪日拡大にも不可欠
観光庁と日本旅行業協会(JATA)は10日、海外旅行に出掛けるようPRする「今こそ海外宣言」を共同で発表した。日本人の海外旅行は、新型コロナウイルス感染症への根強い不安などを背景に需要回復が遅れている。国土交通省で開かれた記者会見には、和田浩一観光庁長官、髙橋広行JATA会長、20を超える国・地域の政府観光局の代表が出席して海外旅行をアピール。宣言に伴うキャンペーンの費用は協賛団体などが負担し、観光庁の役割は情報発信が中心だが、国が前面に出て国民に海外旅行を呼び掛けるのは、1980年代後半のテンミリオン計画以来となる。
記者会見には観光庁、JATA、20を超える海外の政府観光局の関係者が参加
コロナ前の4割
宣言は、新型コロナの水際対策の終了、感染症法上の分類の5類引き下げなどのタイミングを捉えて、海外旅行の需要回復が進まない最大の要因とされる旅行意欲の低迷に対し、官民を挙げて機運を高めるのが狙い。コロナ前の19年に記録した海外旅行者数2008万人の水準への回復を目指している。
海外旅行者数は23年3月が69万4千人、19年同月比で36.0%にとどまっている。訪日外国人旅行者数が181万8千人で19年同月比65.8%まで回復している状況に比べて低迷している。諸外国の海外渡航者数の回復率は、米国が約9割、フランス、韓国が約6~7割とされ、日本の回復に遅れは際立っている。
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