国土交通省東北運輸局は9月から、訪日外国人旅行者の受け入れ環境の整備に向けて、多言語音声翻訳アプリ「VoiceTra」(ボイストラ)を活用した実証実験に取り組んでいる。総務省東北総合通信局と連携した事業。東北6県の観光施設、旅館・ホテル、観光案内所など約100カ所で、施設スタッフと外国人旅行者のコミュニケーションにアプリを利用してもらい、その結果を今後の施策のあり方などに生かす。
運輸局としては東北が全国に先駆けての実施となる。期間は来年2月まで。事業の狙いは、観光関係施設の接客スタッフの多言語対応の強化、多言語音声翻訳システムの普及促進、実証運用を通じたアプリの品質改良など。
ボイストラは、総務省所管の情報通信研究機構が開発した多言語音声翻訳技術を生かしたアプリ。スマートフォンやタブレット(携帯情報端末)にダウンロードして利用できる。アプリで翻訳できる言語は現在、31言語。文章の入出力による翻訳だけでなく、英語、中国語、韓国語、タイ語などは、話しかけた音声が、翻訳された音声で出力される。
観光拠点となる地域を中心に、実証実験に参加する事業者や団体を選定し、アプリの利用方法などに関する説明会も各県で開催した。一部の参加事業者などには、タブレットの貸し出しも行っている。
実証実験に参加している事業者や団体、音声翻訳を受けた外国人旅行者、双方を対象にしたアンケート調査を実施する。アプリを利用した感想などを聞き、今後の施策に役立てる。