国民に「海の日」の意義を知ってもらおうと、観光業界が周知に向け取り組んでいる。JR主要駅などへのポスター掲出、旅行商品パンフレットへのキャッチコピー掲載とあの手この手でアピールしている。背景には海の日の再固定化問題がある。業界が海の日をはじめとする「国民の祝日」を重視している姿勢を示し、再固定化の動きをけん制する狙いもある。
日本観光振興協会をはじめ、日本旅行業協会、全国旅行業協会、日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟、日本旅館協会、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、定期航空協会とJR旅客6社が中心となって取り組んでいる。
(1)海の日の意義についての国民理解の増進(2)国民の海に親しむ機会の拡大に関する取り組み(3)海フェスタなど、海の日に関連した行事・イベントに対する協力—などが主な柱。
まず、海の日の意義の周知と海の魅力を訴える「『海の日』3連休を楽しもう!」ポスターを5700枚作り、JRの駅や旅行会社の店舗、旅館・ホテル、空港ターミナルなどに掲出した。また、日本旅行業協会に加盟する主要会社の夏の旅行商品パンフに同様のキャッチコピーを掲載し、周知に努めている。
このほか、団体・企業の広報誌やホームページ、機内・車内誌の媒体に意義を掲載するほか、海水浴や離島観光、クルーズなどの旅行商品の造成・販売、海フェスタ会場でのブース出展なども予定されている。まさに業界挙げてのアピールとなっている。
海の日は7月第3月曜日となっているが、これを制定当初の7月20日に戻そうという動きが昨年浮上。中心となったのが超党派の国会議員で成る海事振興議員連盟(会長・衛藤征四郎前衆院副議長)で、議員立法による祝日法改正を目指した。
業界は祝日3連休化(ハッピーマンデー)が定着し、経済の活性化に寄与していることや、「海の日が再固定化された場合、観光需要の低下をもたらし、観光や地域経済に深刻な影響を与える。政府の重要政策課題である地方創生に逆行することにもなる」として反対した。
結局、昨年11月の衆院解散で改正法案は自民党内の手続きが未了となり、立ち消えた。しかし、再固定化の動きはなくなったとはいえず、表面化する可能性もある。
業界としては意義をアピールすることで同議連の理解を求め、再固定化の動きに歯止めをかけたい意向だ。
ポスターでアピール