観光統計の整備に的を絞った「第1回観光経済国際シンポジウム」(主催・国土交通省、世界観光機関、協力・和歌山大学、アジア太平洋観光交流センター)が15日、ホテルグランヴィア和歌山(和歌山市)で開催され、自治体、大学、シンクタンクなどの関係者ら275人が出席した。
今回のテーマは「観光統計・経済分析を政策立案・マーケティングにいかに活用するか」。専門家らによる基調講演やパネルディスカッションが行われた。
観光立国の実現には、世界共通基準に基づく観光統計の整備および分析が不可欠と考えられ、「観光立国推進基本計画」においても観光統計の整備は必要な施策として盛り込まれた。
世界観光機関(UNWTO)は観光サテライト勘定(TSA)という統計手法の導入が必要としている。TSAは、国民経済計算体系(SNA)の中では把握することが困難であった観光活動を、SNAに準拠しつつ抽出するもので、観光関連の消費、付加価値、雇用等が把握でき、国民経済における観光産業の貢献度を客観的に測定できるもの。現在、世界80カ国で導入されている。
UNWTOコンサルタントのスタンリー・フリートウッド氏は基調講演の中で、観光業を1つの産業として認知するためには、TSAの導入が必要と説明。TSA導入で、国の観光予算が大幅に増額したオーストラリアの事例を紹介。「TSAは国への援助申し立てやモデルケース構築のツールとして有効利用できる」とした。
そのほか、セントラルフロリダ大学ローゼンカレッジ副学部長のステファン・ルブルート氏による「観光経済分析のマーケティングへの活用」、獨協大学経済学部教授の森永卓郎氏による「我が国の観光業の現状と展望〜その経済効果〜」と題した基調講演が行われた。
整備が遅れているといわれる観光統計。
シンポジウムでは早期の整備を求める声が相次いだ(15日、ホテルグランヴィア和歌山で)