公益財団法人日本交通公社(JTBF)の菅野正洋上席主任研究員は、1日の旅行動向シンポジウムの中で、JTBF自主研究「観光財源研究会」の成果として、宿泊税などの観光財源の在り方について報告した。宿泊税などを導入しても、一般財源化されてしまう懸念があるとして、官民が協働で作成した観光計画と、観光財源の使途をひもづけることが重要と指摘。継続的な取り組みが重要な観光振興では、行政予算の単年度主義には限界があることから「基金化」を提言した。
観光財源のうち宿泊税は現在、10の都府県・市町で導入されている。さらに2025年春までに3自治体が導入する予定。検討段階にある自治体も少なくない。宿泊税以外にも、自治体により訪問税、環境協力税、協力金なども、観光財源といわれる性質を持っている。
菅野氏は「観光計画において財源とひもづいたプランをつくり、それに基づく取り組みを進めることが大事。限られた原資として財源をどう配分し、どういう地域を目指すのか、戦略的な計画が必要」と述べた。創設した観光振興基金をベースに、計画に基づく事業を推進し、観光需要の増加、宿泊税収の増大といったサイクルを回すべきと説明した。
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