リクルートのじゃらんリサーチセンターは13日、オンラインセミナー「インバウンド回復期に向けたデジタルマーケティング研究」を実施した。観光行政、全国自治体、観光関連団体などから約200人が参加した。講師は同センター研究員の松本百加里氏が務めた。
同氏は、世界の現状について「カスタマー」と「観光競合国」の両側面から分析。カスタマーサイドの傾向を、①ワクチン接種の本格化②トラベルバブルの開始③オンラインでの情報収集増④海外旅行好き、日本ファンはSNSでコミュニティ化⑤コロナ禍でも旅行検討する層は存在ーとした。観光競合国サイドについては、①渡航解除後の旅行先第一候補になるために、ファンへのアピール合戦が激化②国内旅行の最新情報の発信強化(安全対策、withコロナツアーなど)ーを挙げた。
その上で「人が動けなくても、情報は求められている。日本が機会損失を起こさないために、地域情報をデジタル化して最適な状態にすることが必須」と指摘した。具体的には、「カスタマージャーニーには『認知』『興味・理解』『比較・検討』『予約』までの旅マエ、『来訪・体験』『満足・推奨』の旅ナカ・旅アトの各フェーズがあり、フェーズごとにSNS情報と連動しながら今の地域情報をデジタル化、発信していく必要がある。特に、旅ナカ・アトの段階で、旅行者自らが「感動した体験内容、感想、具体的なシーンやストーリー」などをSNSで発信するUGC情報(User Generated Content)は、地域情報ウェブサイトと同様に重要視する必要がある」と解説した。さらに「今までは『訪日外国人UGC』に頼っていたが、これからは『国内旅行者UGC』が大事。それが将来の来訪。宿泊アクション、消費獲得につながる」と強調した。
今後の強化ポイントにも言及。DMO・自治体の役割として①コロナ禍でのデジタル情報の発信を行う意義の啓蒙、地域の民間事業者と住民との合意形成②地域の更新性の高い情報を集約し続けるための観光事業者へのマネジメントーを挙げた。デジタル発信のための横断ナレッジ共有機能、専門家派遣の活用、国と連携したデジタル人材育成が求められると述べた。