日本政府観光局(JNTO)が18日に発表した今年10月の訪日外客数(推計値)は、前年同月比43.8%増の182万9千人だった。10月として過去最高を記録。月間で今年7月の191万8千人に次ぐ過去2番目の実績となった。国慶節休暇があった中国が2倍となったほか、ロシアを除く主要な17市場が10月の最高値を更新した。1〜10月累計は前年同期比48.2%増の1631万7千人になった。
10月を市場別に見ると、中国は99.6%増の44万5600人。国慶節休暇(10月1〜7日)の訪日旅行は好調。クルーズ船の寄港は46隻で、昨年同月の約4倍だった。航空便も羽田—広州線などの就航、既存路線の増便で旺盛な需要を支えた。ビジット.ジャパン(VJ)事業では主要都市で広告を展開、中国のSNS(微博、微信)も活用して情報発信した。
韓国は48.6%増の37万800人。「ハングルの日」に伴う連休(10月9〜11日)が訪日需要を喚起。JNTOによると、現地旅行会社は「関西地域を中心に前年を上回る販売実績だった」。
台湾は32.0%増の34万3600人。双十節連休(10月9〜12日)、航空路線の拡充などが訪日旅行の需要拡大を後押しした。北海道、立山黒部、東北の紅葉観賞が人気で、ツアー料金が上昇する中、9月上旬で募集定員の9割が予約済みとなった旅行会社もあったという。
香港は66.9%増の12万9100人。VJ事業では旅行会社15社との共同広告で中国、中部、北陸の秋の魅力を訴求。航空便はチャーター便や新規就航など、地方路線も活況を呈した。
東南アジアでは、タイが8.3%増の8万6千人で、伸び率は1桁だが、10月として過去最高だった。伸び率が目立つのは、ベトナムの40.6%増(2万1400人)、フィリピンの32.3%増(2万5700人)など。
アジア以外の市場では、カナダとドイツが月間で過去最高。カナダは23.9%増の2万1900人、ドイツは14.2%増の1万8800人だった。米国は16.6%増の9万6200人、豪州は23.4%増の2万9600人、英国は7.8%増の2万6200人となった。
1〜10月の累計では、中国が前年同期比112.9%増の428万4千人で、全市場を通じて初めて年間400万人を超えた。10月までの累計が昨年の年間値を超えた市場は、台湾(311万5千人)など11市場に上った。
11月は、紅葉シーズンの本格化、インセンティブ(報奨)旅行の増加などで、引き続き訪日旅行は好調に推移すると見られている。今年の年間値の見通しでは、単純に昨年の年間値に10月までの伸び率を掛けると、約1987万9千人に達する。