今年2月の訪日外客数は、前年同月比41.3%減の40万8800人と大幅に落ち込んだ。世界的な景気後退、円高などに加え、東アジアの旧正月の休暇時期が陰暦の関係で前年は2月だったのに対し、今年は1月に移った影響も大きかった。ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)の重点12市場すべてで前年同月の実績を下回った。
日本政府観光局(JNTO)が3月25日に推計値として発表した。訪日外客の減少は昨年8月以降、7カ月連続。11月以降は2ケタ減が続いている。
東アジアでは、旧正月休暇の時期の移動で下げ幅が拡大した。韓国が54.5%減の10万6900人と大きく落ち込んだのをはじめ、台湾が48.0%減の5万9300人、中国が25.9%減の6万3100人、香港が60.4%減の2万2100人、シンガポールが56.4%減の5100人。中国からの訪日客は前年同月の数値を上回るペースで推移していたが、4カ月ぶりにマイナスとなった。
米国、欧州も軒並み厳しい。11カ月連続で減少中の米国は22.4%減の3万8800人、2月としては1991年以降最大の下げ幅。英国は、円に対するポンドの価値が前年同月に比べて4割弱も安くなり、30.8%減の1万1300人。ドイツ、フランスも円高ユーロ安の影響で2割弱の減少だった。
豪州も16.7%減の1万7100人と5カ月連続の減少。日本経由欧州行きの航空需要が、円高と燃油サーチャージの割高感により、他のアジア経由便に移った影響なども受けた。
事業前倒し検討 観光庁
観光庁の本保芳明長官は、3月25日の定例会見の中で、2月の訪日外客数が約4割減と大きく落ち込んだことについて「大変な数字。非常事態だと捉えている」と述べ、プロモーションなどを強化するため、VJC事業の前倒しについて検討に入ったことを明らかにした。
本保長官は「09年前半は2割減ほどで推移し、後半は回復に向かうシナリオで09年度の事業計画をつくったが、事業を前倒しして取り組まないといけない」と指摘。前倒しする事業の配分などを検討することにした。
事業費については、「前倒しで薄くなる後半の事業分については、難しいことだが、補正予算を求めていきたい」との考えも示した。