観光庁は、2009年の訪日外客数の目標を835万人とする方針を決めた。ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)開始後、訪日外客は順調に増えてきたが、世界的な景気後退の影響で伸びを見込めず、08年実績(835万2千人)と同水準の目標を掲げるにとどまった。官民のメンバーが出席して3月18日に開かれるVJC実施本部執行委員会(委員長=本保芳明・観光庁長官)で正式決定する。
数値目標は、経済情勢が短期間のうちには回復しないことを前提に設定している。日本政府観光局(JNTO)の海外宣伝事務所などからの報告による市場別の数字の積み上げ、関係機関へのヒアリングなどを基に算出した。
このほか市場予測に関する各種データも参考にした。世界観光機関(UNWTO)は、世界での国際観光の09年の成長率を0〜マイナス2%の範囲と予測。財団法人日本交通公社は、09年の訪日外客数を前年比3%減と予想している。
PRする国内地域 重点市場別に設定 本保長官
観光庁の本保長官は2月25日の定例会見で、「市場予測のデータ、97年のアジア通貨危機の際の市場の動きなどを考え合わせると、835万人には少し足りない数字が出たが、目標数値として背伸びをし、835万人に設定した」と説明した。 09年に訪日外客数835万人を達成できた場合でも、観光立国推進基本計画に掲げた2010年に1千万人の目標を実現するには、09年に対して約20%の大きな伸びが必要になる。
PRする国内地域 重点市場別に設定 本保長官 観光庁の本保長官は定例会見の中で、09年度の海外プロモーション事業について、「日本国内のデスティネーション(具体的な地域)の認知度を向上させるため、VJCの重点市場別に日本国内のどこの地域を訴求するのかを整理して、重点的、効率的にプロモーションを進めたい」との考えを示した。VJC実施本部執行委員会に諮る事業計画の中に盛り込む予定。
重点市場別に国内地域を設定するのは、VJCの事業計画では新たな手法。国内のどの地域をどの市場に訴求するかについては、JNTOの市場分析などを基礎にする。イメージを挙げれば、北海道を舞台にした中国映画が08年末から話題となっている中国に対して、北海道を設定し、それに応じたプロモーションを強化するといったような手法だ。
本保長官は「VJC地方連携事業、地方自治体の取り組みも含めて、資源(予算など)を集中させることができれば、重点的、効率的にプロモーションを展開できるのではないか」と指摘した。
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