19年1~5月累計の訪日外国人旅行者数(推計値)は、前年同期比4.2%増の1375万4千人となった。過去最高の年間3119万人を記録した18年を上回るペースだが、韓国、台湾、香港は前年同期比でマイナスで推移している。観光庁では、夏ダイヤで国際定期便が増加し航空座席供給量が拡大していること、9月にラグビーワールドカップ(W杯)日本大会が開幕することなど、訪日旅行の好材料は多いとして、20年4千万人の目標に向けて誘客を強化していく。
19年の訪日外国人旅行者数の月ごとの前年同月比は、1月が7.5%増、2月が3.8%増、3月が5.8%増、4月が0.9%増、5月が3.7%増といずれも伸び率は1桁。4、5月は、日本の10連休のゴールデンウイークに伴う訪日旅行商品の高騰などがアジアの市場に影響した。
重点20市場について1~5月累計を見ると、中国の10.8%増(累計365万2千人)、米国の14.2%増(同70万人)、タイの16.4%増(同62万1千人)など17市場が前年同期を上回っている。他方で構成比の大きい東アジアでは、韓国が4.7%減(同325万1千人)、台湾が1.4%減(同202万人)、香港が1.8%減(同88万9千人)と前年同期を下回っている。
訪日市場の見通しについて観光庁の田端浩長官は19日の専門紙向け会見で、「夏ダイヤの航空便数は前年に比べて増加している。中国は今年1月のビザ緩和などがFITにプラスだ。ラグビーワールドカップを目的とした外国人観光客は欧米豪を中心に60万人を見込んでおり、長期滞在、消費拡大が期待できる。来年には、首都圏空港、那覇空港の発着枠も拡大される。このように訪日旅行のプラス材料は多々あるので、しっかり取り組んでいく」と述べた。
中国に次ぐ訪日市場の韓国は、19年の前年同月比がプラスなのは2月の1.1%増だけ。1月が3.0減、3月が5.4%減、4月が11.3%減、5月が5.8%減だった。韓国では訪日旅行にとどまらず、アウトバウンド自体の伸びが鈍化しているという。
韓国の訪日旅行動向について田端長官は「LCCを中心に航空座席は増えており、日韓の相互交流の環境は悪くない。5月29、30日には観光庁、JNTOの幹部を派遣し、KATA(韓国旅行業協会)と打ち合わせを行い、新たなデスティネーションやコンテンツに関する訪日旅行商品の開発、販売を依頼したところだ」と説明した。