石川県輪島市の輪島商工会議所(里谷光弘会頭)は、観光客、住民の移動交通手段として電動カート「エコカート」を市街地で運行している。ゴルフ場などで利用されている電動カートを改良し、軽自動車のナンバーを取得した車両で、街並みをゆっくり眺めながら観光スポットを周遊できると観光客に人気だ。
ウインカー、バックミラーなどを設置し、保安基準などをクリアした、日本で初の公道走行可能な電動カート。乗車定員は運転手を含めて4人。時速6~20キロで走行するので、景観をゆっくり楽しめる。排気ガスや騒音の心配もなく、低床構造で乗り降りもしやすい。
輪島商工会議所では、住民、観光客の利便性向上、コミュニティバス運行などの自治体の費用負担削減などを目的に、新しい2次交通システムの導入を模索。調査、社会実験などを経て、2014年11月に軽自動車ナンバーを付けたエコカートによる公道での調査走行を開始した。
15年度からは年間運行がスタート。16年度は1コースの運行ながら利用者数は約3700人に上り、観光客の利用が約7割を占めた。車両は現在、4台保有している。
今年度は3コースで、午前10時~午後2時の間に定時運行。輪島キリコ会館や輪島朝市などを巡る「輪島キリコ会館コース」、地域住民の生活に便利な「輪島病院コース」が平日に運行。輪島塗会館や輪島ドラマ記念館などを巡る「塗めぐりコース」が水曜以外の毎日運行。運行距離は各コースいずれも約3キロメートル。料金は無料。
16年11月には、自動走行実験も開始した。運転手は乗車するが、走路に埋設された設備で電磁誘導され、安全にコースを走行する。現在は「塗めぐりコース」の約1キロの区間が自動走行となっている。将来的には全面的に自動走行に移行したい考えだ。
輪島商工会議所の副会頭で、旅館、輪島温泉八汐の谷口和守氏は「ガイドが同乗して観光スポットを巡ることもできる。自動走行、連結走行などについても検証し、地元住民の足の確保を含めて、次世代の交通システムとして地域の活性化につなげたい」と話している。