近畿日本ツーリスト協定旅館ホテル連盟(近旅連、西野目信雄会長)会員企業の女性経営者や従業員を対象にした研修会「女性文化講座」が9、10日の両日、京都市の京都ホテルオークラで開催され、会員やKNT—CTホールディングスの関係者ら約80人が参加した。女優の市原悦子さんをはじめとする5人が、ユーモアを交えて講演を行った。
開会式で西野目会長は、今年は近旅連が設立60周年、女性文化講座が45回目の節目の年であると説明。「当講座で心と頭に栄養を与え、夏の疲れを養ってほしい」とあいさつした。
1日目は京都市産業観光局MICE推進室国際戦略係長の寺田敏隆氏が市のインバウンドの取り組みについて講義を行った。京都市は将来人口が20万人減少すると推測し、経済を支えるために観光消費額が高いMICEの誘致と将来のリピーター作りのために修学旅行生の取り込みを積極的に行っている。500人以上の国際会議などには1千万円まで助成することや、宿泊施設向けに訪日旅行者対応の多言語コールセンターを実施していると説明した。
市原さんは戦後の食糧難を生き抜いてきた生い立ちから下積み時代などのエピソードを軽快に語った。グリム童話の「ネズの木のはなし」や戦争童話「ちいちゃんのかげおくり」を市原さん独特の心に響く声で感情豊かに朗読。参加者からのさまざまな質問にも気さくに答え、女将らとの交流を楽しんだ。最後は「世界中の飢えと戦争がなくなることを願います」というメッセージで締めくくった。
夜はパーティー。KNT—CTホールディングスの戸川和良社長や近畿日本ツーリストの小川亘社長、別会場で行われていた近旅連正副会長会議の出席者らも加わり、意見交換を行った。
2日目はさとう式リンパケアの考案者・佐藤青児氏が肩こりやむくみ解消法を実践を交えて講演した。ストレッチや筋トレよりもリンパケアの大切さを強調。常識を覆すケア方法に女将らは大きな関心を寄せていた。
京都外国語大学教授で京都在住45年のジェフ・バーグランド氏は異文化コミュニケーションについて講義した。相手を観察し、相手の文化を受け入れ、取り入れることの重要さを説明。「日本人は受け手が相手の意図をくみ取る『受信者責任型文化』であるのに対し、海外の人は意見や好みを主張する『発信者責任型文化』であるので訪日客には好みを発信させる、選択させることを忘れないでほしい」とアドバイスをした。
和菓子の老舗虎屋の文化事業課長の浅田ひろみさんは、480年以上続く虎屋の歴史や和菓子を五感で味わう楽しさや魅力を伝えた。
市原さん独特の語り口に参加者は魅了された