近畿日本ツーリスト ブループラネットの戦略 浅妻 勇社長に聞く


近畿日本ツーリスト ブループラネット 浅妻 勇社長

KNT-CTパートナーズ会さまは商売の根幹 コンテンツ力で勝負を

 2023年4月の組織改編で、個人旅行のウェブ販売事業や商品企画事業を行う専門会社、近畿日本ツーリストブループラネットが誕生した。新会社の経営戦略を浅妻勇社長に聞いた。

――近畿日本ツーリストブループラネット(BP)はどんな会社か。

 「ブランドであるBP国内、海外のダイナミックパッケージ(DP)商品および宿泊商品を中心に、ウェブ販売・コールセンター・アバターによる多様な接客サービスでお客さまのご要望にお応えし、ハイクオリティーなサービスを追求、旅を通じてさらなる社会貢献を目指す企業だ」

――BPはもともと一つのブランドで、高級予約サイトを主軸としていた。新BPの事業展開は。

 「ウェブサイトの運営を含めて、個人旅行のウェブ販売と商品企画という、二つの軸で事業を手掛けてきた。基本的にはお客さまにより近づいた、お客さまの価値観に寄り添う形でウェブを通じて旅行商品を販売していくことに徹底的にこだわる。現在の当社ウェブサイトはお客さま自身による『検索』からの売り上げが8割を占める。この売り上げの確保と、検索以外の当社からの提案型訴求による2軸での販売を進めていく」

――商品造成にあたっては旅館・ホテルの協力が欠かせないと思うが、いま何軒の施設と契約しているか。

 「近畿日本ツーリストだけでも4600軒ほど。旅館・ホテルさまはわれわれにとって最大の財産であり、送客増、消化率を上げて貢献したい」

「また、さまざまな有名観光地やイベントにおける販売権も有している。会社の枠を超えて活用する工夫や働きかけを積極的に行っていく」

――検索と提案型訴求の重要性を述べられたが、提案型訴求を増やすにはどういった展開を。

 「お客さまのニーズをくみ取った上で、そのニーズに合う『特集』的なものを提案させていただく環境を作っていく。売り上げの8割は今後もしっかり確保していかなければならないが、残りの2割をどう積み上げていくかだ。問われるのは企画力で、グループ会社のクラブツーリズムの高い企画力を取り入れ、グループ一体となった提案型商品を訴求していく。また、旅行の企画に限らず、現地情報を魅力的に伝えるコンテンツの企画。月当たり約50件を目標に特集コンテンツを発信していきたい」

――旅行の企画以外も大事だと。

 「旅行会社の特集といえば観光特集、いわゆる有名観光地や宿泊施設などで組むのが通常だが、もっと現地に根ざした情報を発信していく」

 「世の中でニーズが高まっているものはほぼ全て旅に結び付けることができる。テレビ番組であるグルメやちょっと変わった場所を放送すれば、後日多くの人が訪れる。これも一つの旅のかたちではないか。消費者の心に刺さるものをどう商品化していくか。企画力を高めるには世の中のトレンドを把握し、ネットやSNSの情報だけでなく、さまざまなテレビなどのトレンド情報や視聴率も目を向ける必要がある。どうアンテナをはり、情報を収集していくかだ」

――特集と商品が結び付いた例は。

 「香港ディズニーランドリゾートのツアー企画。当社はパーク内レストランでキャラクターに会える食事、特別観覧、ディズニー直営ホテル泊などを盛り込み、香港ディズニーを満喫する高額商品を販売した。商品は瞬く間に売れて、追加販売を重ねている。エッジの効いたこだわりの企画にディズニーのコアなファンが殺到し、普段海外旅行に行かない層まで取り込むことができた」

 「交通や宿泊といった商品はあくまでも素材。その素材をどう鮮やかに盛り付け、おいしそうに見せるかは旅行会社の社員のアンテナとセンス、そして交渉力にかかっている。そう簡単にはできないが、自分が『行きたい』と思えるような特集や商品企画を常に提案し、アクセスやコンバージョン、利益率、お客さまの評価などから成功、失敗要因を検証して次に生かしていく。そうした努力でセンスも嗅覚も磨かれていく」

――グループの中でBPの果たす役割は。

 「個人旅行の収支を改善し、黒字化に持っていくこと。BPを総合個人旅行ブランドとして確立していくこと。特集も商品もお客さま個人の嗜好に合わせたレコメンドが表示される『私だけの旅情報サイト』に仕立て上げていくこと」

――KCP会はBPにとってどんな存在か。

 「先ほど、8割は確保できているといったが、それを維持していくためにはKCP会さまの協力なくしてはできない。まさにわれわれの商売の根幹といえる」

 「また、オリジナル特集の企画などはわれわれだけではできない。KCP会の皆さまの知識、情報がとても大切だ。社員には『もっとも強力な情報源となるのは現地の人。宿のオーナーさんや客室担当者の皆さまと会話する機会を作り、関係を構築してほしい』といっている。現地の人でしか知りえないグルメやトレンド情報を発信していただいて、それを商品化していく」

――関係を密にする機会を作る必要がある。

 「現地研修や商談会などもあるが、もっと交流を深め、互いに率直に意見を交わしたい。特集にしても、『BPはこんな特集を企画しました。KCP会(KNT-CTパートナーズ会)の皆さま賛同していただけますか。その際、特集に適合するアイデアやプランを出してほしい』という問いかけも必要ではないか。一緒になって作り上げていくという意識をもっと高めていきましょう」

――BPの将来像をどう描いているか。

 「特集・企画を起点としたコンテンツ力で勝負する。IT企業ではなく、ウェブ通販会社でもなく、旅の魅力を伝える旅行会社になる。KCP会のご支援、ご協力を引き続きお願いしたい」

近畿日本ツーリスト ブループラネット 浅妻 勇社長

 

 
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