世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の登録20周年を記念したトークショーが1月24日、東京都内で開かれた。近畿3県(奈良・三重・和歌山県)で構成される「吉野・高野・熊野の国」事業実行委員会が主催。紀伊山地にゆかりのある3人のゲストを迎え、多角的な視点から地域の魅力を紹介した。
主催者あいさつで三重県の一見勝之知事は、熊野古道がフランスからスペインへと続く巡礼路「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」と並ぶ世界的な巡礼路であることに触れ、「今後多くの方にお越しいただけると考えている」とさらなる発展に期待を寄せた。
会には、フォトグラファーの鎌田風花さん、書家の紫舟さん(高野山・熊野を愛する100人の会メンバー)、モデルでタレントのはなさん(同)が登壇。それぞれの専門的な視点から地域の魅力や観光の楽しみ方について語った。
はなさんは、吉野山の来訪について「桜の時期は早朝に行くのがおすすめと聞いた」と述べ、「遠いというイメージがあるが、観光列車を乗り継ぐ旅も楽しみ方の一つ。移動時間を楽しむことで心の豊かさが広がる」と語った。鎌田さんは「夏の吉野山も魅力的。木漏れ日が良い写真の一部になる」。
また、紫舟さんは高野山に息づく空海の教えに触れ、最澄にあてた手紙「風信帖」を紹介。熊野那智大社で撮影した写真を披露した鎌田さんは、「天候によってさまざまな表情が楽しめる場所」などとコメントした。
最後に紫舟さんは、「私たちは便利なものを選びがちだが、便利さは人間の持つ力を弱めることもある。この3県は不便だからこそ、人間の持つ力や精神性を高めるだけの力がある」と述べ、地域の魅力を改めて強調した。
トークショーで魅力を語る(左から)はなさん、紫舟さん、鎌田さん