東京都交通局は、地方から都心に来る修学旅行生に、もっと都バスを利用してもらおうと、「修学旅行サポート動画」を収録したDVDを製作した。モデルコースの紹介や都バスの利用方法などを盛り込み、全国の旅行会社や学校に配布した。これまで鉄道に流れていた修学旅行生を都バスに誘導するため、同局は本格的な修学旅行対策に乗り出した。
同局はキャンペーンの実施や今年4月にホームページを刷新して4カ国語に対応するなど、観光分野の強化に乗り出していた。一方で、地方からの修学旅行については具体的な対策を取ってこなかった。そのため、修学旅行生がどの程度、都バスを利用しているかの統計などはなく、学校から直接問い合わせが来ることもなかったという。
同局は、乗客増を図るためには、地方から来る修学旅行生の取り込みが必要と判断。鉄道と比較した都バスの有利さや魅力、運賃などを紹介したDVD2200枚を製作し、全国の旅行会社と修学旅行に来る可能性の高い自治体の中学校を無作為に抽出して配布した。一部は今後も、希望した旅行会社や学校に配布する。同時にDVDには盛り込めなかった内容を掲載したパンフレットも作成した。
DVDでは、上野公園〜浅草雷門〜スカイツリー〜錦糸町駅前をモデルコース「夢の下町」として紹介。旅行会社や学校が、実際に中学生が乗車して観光地を回る様子を動画で見ることができるため、バスを利用する良さが実感できるという。
都バスは23区内を中心に137路線あり、都内にあるほとんどの観光地や人気スポットを巡ることができる。1日乗車券(23区内)も500円で、JRや地下鉄の1日乗車券よりも割安。
同局の加地正浩・自動車部営業推進係長は「『都バスは便利』という事実が、旅行会社や学校に意外に知られていない。地下鉄では景色が見られない。バスは修学旅行の利用に最適との認識を持ってもらい、修学旅行分野を開拓していきたい」と話している。
東京都交通局が配布しているDVDの収録内容の一場面