北海道に旅館・ホテルなどを展開する野口観光グループ(本社・登別市)は、来年4月、宿泊業の職業訓練校「野口観光ホテルプロフェッショナル学院」を苫小牧市に開設する。ホテル従業員として必要な知識や技能・技術、外国語をはじめ、北海道の歴史や文化などを学んでもらい、広い視野と専門能力を持った人材を養成する。来春に営業を再開する苫小牧プリンスホテル内に設ける。
2年制の総合ホテル学科で入学定員(1学年)は30人。全寮制で入学金と授業料は無料。入学者は高校新卒者に限定し、社員として採用し給料を支払う。卒業後は他社にも就職できるという。
履修教科は31科目。観光概論や簿記会計、ホテル・観光関連の法律知識、北海道の歴史や文化など講義中心の19科目と、接客やベッドメーク、英語、中国語、韓国語の基礎会話などの実技が12科目。
観光学科のある大学との連携や道内で活躍する文化人などの特別講演も組み込む。同社の主要ホテルで幹部職員が指導する現場研修も行う。また、北海道観光マスター検定や温泉ソムリエ、ホテルビジネス実務検定試験など業務に役立つ約10種類の資格取得も促す。
座学、実技、現場研修を合わせた訓練時間は1、2学年とも年間1400時間。
野口観光グループは5月の連休明けから、担当者が道内と青森県内の高校約400校を訪問するなどして、学院の説明や入学の呼び掛けを始める。訓練校設立準備室では「宿泊業はきついとして若者から敬遠されがちで、離職率も高い。2年間かけて観光業のやりがいや楽しさをじっくり伝え、これからの観光業を支える人材を育てていきたい」としている。
観光関連コースを設けている専門学校は道内には他にもあるが、宿泊事業者が自前で養成学校を開設する例は全国的にも珍しい。道や北海道観光振興機構では、北海道観光の発展を担う人材の確保、育成につながるとして、学院の成果に期待を寄せている。