長崎国際観光コンベンション協会(長崎市)は19日、マーケティングセミナー「ブランディングを学び、ビジネスチャンスに活かす!」をリアル、オンラインの両形式で開催した。「選ばれる21世紀の交流都市」の実現に向け長崎市が制定したスローガンの背景や狙いを出席者と共有するとともに、ブランディングをビジネスに活用するための思考や方法を学んだ。
長崎市は、メインコンセプト「『近さ』(多様性の包み込み)」を「暮らしのそばに、ほら世界。」というスローガンに落とし込み、開港450年を迎え、絶えず変化、進化を続ける同市のイメージを訪問客に訴求している。9月23日の西九州新幹線開業も念頭に置きながら、「東京・大阪(大都市圏)には『私の知らなかった長崎の魅力に会いに行く』」「福岡・広島・岡山(新幹線沿線地区)には『新幹線で行く、新しい長崎旅』」など、エリアごとに発信の仕方を変え、プロモーションを推進している。「長崎さるく」「世界新三大夜景」など既存の観光資源も同コンセプトに乗せ、メディアや展覧会などを通して伝えている。
講師のコピーライター・クリエイティブディレクターの原晋氏は、スローガンの着想について「郷土料理のハトシや桃カステラ、爆竹での精霊流しなど、市民が当たり前と思う魅力、その『世界』こそ新たな観光資源となる」と説明。外国文化を受け入れ独自の街並みや生活習慣を育んできた同市の独自性が強みであると語った。「スローガンは、長崎市民の皆さんが市外の人に向けて長崎について伝える際の合言葉のようなもの。『暮らしのそばに、ほら世界。』を積極的に発信してほしい」と呼び掛けた。
原氏は「スローガンを作成し、多角的なプロモーションを実施し、それを長年継続して積み重ね、ブランドを構築する」ことの重要性についても言及。長崎市の課題として「多くの魅力的な観光資源の見せ方が画一的になってしまっている」と述べ、「『そこにしかない体験』を増やすべきだ。それらにより『また来たい』と思ってもらい、良いうわさがSNSで広がるようになって、画一化、固定化されたイメージの払しょくを図りたい」と、新ブランド構築に向けた施策の方針を説明した。