全国各地でインバウンド誘致に向けた地域の取り組みが活発化する中、湯田中渋温泉郷などで知られる長野県の山ノ内町は、独自の外客誘致に動き出した。まずは韓国からスキー客を誘致しようと、韓国の旅行関連会社社長で、日本で旅行業やマーケティング業を手掛ける尹起準氏に「観光アドバイザー」を委嘱。2月5日には、尹氏の協力で町の観光案内所をソウル市内に開設した。情報の発信・収集、セールスの拠点として活用する。
スキー人口の減少などを受け、山ノ内町でも90年をピークにスキー客が減少している。国のビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)などを背景に、行政、観光事業者がともにインバウンドに着目。04年には、町内にインバウンド誘致推進協議会が発足した。 韓国人旅行客には、日本のスキー場や温泉の人気が高い。町内にも韓国からのスキー客が訪れるようになり、さらなる誘客拡大に向けて町は、昨年12月、観光アドバイザーを尹氏に委嘱した。
ソウル市内の観光案内所も尹氏の協力で実現。場所は尹氏の経営する会社の一室で、人員も日本人、韓国人を含めて随時対応できる5人前後のスタッフが配置された。山ノ内町のパンフレット、プロモーション映像、特産品などを並べている。
開所に合わせて、中山茂樹町長、町インバウンド誘致推進協議会の小根澤市左衛門会長代行(古久屋)、斉須正男副会長(湯田中びゅうほてる)らが今月4~6日に訪韓し、現地の旅行会社をまわるなどセールス活動を展開した。
中山町長はこれまでもトップセールスを重視し、昨年は韓国、オーストラリアなどを訪問。外客誘致の先進地から学ぼうと、北海道のニセコなども視察している。
中山町長は「国内スキー客は減少しているが、山ノ内町のスキー場や温泉に対する海外の反応は良い。韓国、オーストラリアなどの旅行客は、連泊、長期滞在が多く、町内観光の活性化への期待が大きい。アドバイザーや観光案内所を観光事業者に上手く活用してもらい、誘致拡大を成功させたい」と語った。
山ノ内町ソウル観光案内所