長野県茅野市は6日、伝説の「献上寒晒しそば」プロモーションムービーを公開したと発表した。
■八ヶ岳蕎麦切りの会
茅野市でそばを作り、提供している人たち「八ヶ岳そば切りの会」。その発足は平成14年のこと。そば店同士が手を組んで茅野市のそばをPRしていこうじゃないか、ということで当時は12店舗ほどが集まって始まりました。ライバルの同業者が手を組んで一緒に何かをするということは、当時では珍しいことでした。
現在の八ヶ岳蕎麦切りの会は、多岐にわたるそばをPRする活動の一つとして、自分たちで畑を借りて、そばを栽培・収穫し、献上寒晒しそば(以下、寒晒しそば)を作っています。
■献上寒晒しそば
寒晒しそばの歴史は江戸時代にさかのぼります。当時、茅野市の辺りでは将軍家への献上品としてそばの実を冬の川に晒す寒晒しそばを納めていました。
寒晒しそばの味は上品なふんわりとした甘味、食感はもちもち。八ヶ岳蕎麦切りの会の会長 宮坂さんは「寒晒しそばは、作る過程で冬の冷たい水にそばを晒すことでたんぱく質が抜けていきます。また、雑味が抜けてもちもちとした食感とほのかな上品な甘い香りのそばになります。」と話します。宮坂さんはその香りを「アーモンドのような香り」だと表現します。「通常のそばにもいくつか種類がありますが、そのどれともちがう食感に感動される方が多いです。」
■寒晒しそばができるまで
寒晒しそばは、通常のそばと同じように7月下旬に種まきをしてから栽培が始まります。夏を越して秋、9月下旬から10月のはじめに刈り取ります。普通のそばは、その刈り取りをしたそばをすぐに製粉して新そばとしますが、寒晒しそばはここで保存をします。その後、年を越して一番冷え込み、水がきれいになるといわれる大寒(1月20日ころ)の清流に10日間ほどそばを晒します。
その後、引き上げて1か月~1か月半ほど適切な水分量となるように見極めながらじっくりと乾燥をさせます。乾燥が済んだら製粉会社の温度管理された場所へ保管。こうしてできあがった寒晒しそばは、夏の一番暑い7月上旬から下旬に献上寒晒しそばとして販売されます。
■なぜ水に晒すのか
水に晒すのは保存のためであるといいます。現代は冷蔵庫とか保存の技術が発達していますが、昔は穀物やお米、そばの実を大寒の頃に水に晒すことで、保存期間を長くしていました。茅野市の気候や風土を利用した保存技術として晒すということを昔の方たちは編み出したようです。
■八ヶ岳蕎麦切りの会の会長の宮坂さんの思い
茅野市の凍みの気候・風土を利用して、かつ過去に献上していた歴史がある寒晒しそばは、他の地域にはないものですから、その素晴らしさを自分たちの手で実際に作ってお客様に伝えることが自分たちの役目と考え、みんなで寒い中、頑張って作っています。
自分たちで寒晒しそばの栽培から提供まで行うようになってから数年が経ちますが、今までは作って売るというのが主体でした。これからは、今まで以上に寒晒しそばを食べに訪れる方々へ茅野市の自然や暮らしなど、色々なものを寒晒しそばを通じて知っていただいて茅野市のファンになっていただきたい、そういう思いを込めて寒晒しそばを作って行きたいと思っています。
■献上寒晒しそばの提供時期と食べられるお店
今年は7月16日(金)から食べることができます。
寒晒しそばが食べられるお店は茅野市広報紙「広報ちの 令和3年7月号」に掲載しました。以下のURLからご覧ください。
https://www.city.chino.lg.jp/uploaded/attachment/19016.pdf