アイヌ民族の伝統文化を紹介する拠点施設、阿寒湖アイヌシアター「イコロ」が4月29日に北海道の阿寒湖温泉に本格オープンした。釧路市が温泉街に約4億円をかけて建設。アイヌ民族に伝わる舞踊や民話を元にした人形劇などの公演が行われる。
イコロはアイヌ語で宝の意。施設は鉄筋コンクリート造平屋約900平方メートル。アイヌ民族が村の守り神としてあがめるシマフクロウの大きな木彫りが掲げられ、各種芸能が披露される舞台、階段状の332の座席、約120人分の立見席などが設けられている。
舞台で火や舟を使った伝統儀式もできるように排煙設備や水路も設置され、後方に設けられた2カ所のスクリーンには、英語、韓国語、中国語の解説文などを映写することができる。
管理運営は、地元の観光協会やアイヌ工芸協同組合などでつくる阿寒湖アイヌシアター運営協議会(大西雅之会長)。
同日には記念式典が開かれ、地元の観光関係者など約300人が出席した。アイヌの神事「カムイノミ」でシアターの安全を祈願した後、道内各地から参加したアイヌ舞踊団による古式舞踊や人形劇が記念上演された。
イコロは昨年11月に完成し、12月から古式舞踊のプレ公演を実施。本格オープンにより土・日曜、祝日には地元劇団の人形劇、春と秋の期間にはイヨマンテの火まつりなどが公演に加えられる。
入場料は1千円(前売券900円)で、年間約1200回の公演を予定。関係者は特色ある文化観光の振興につながると期待している。
問い合わせは同運営協議会(TEL0154・67・2727)まで。
「イコロ」が本格オープンした