福島県商工信用組合(福島県、須佐真子理事長)は、顧客組織「けんしん十店会」とともに、地域企業の経営力強化や活性化に取り組んでいる。異業種交流の機会提供のほか、会員向けに特別融資枠を設定し地元企業の発展に寄与。発足から約20年がたち、若手経営者組織と合わせた会員数は977人と1000人に迫る。
十店会は、全16カ店の店舗ごとに組織化。「業種に偏りがない異業種交流組織」(佐々木英夫審査部長)にこだわり、建設土木業や製造業、サービス業、飲食業など多様な取引先で構成する。業種を横断したつながりが生まれ、取引先同士のビジネスマッチングの場としても成果が出ている。【記事提供:ニッキン】
会員向けの「十店会ローン」は、資金面で顧客を支えてきた。不動産担保や個人保証を不要とし、最大で1000万円または年商の20%(いずれかで少額を適用)を最短即日で貸し出すのが特長。事業性評価では、会員制の活動を通じて構築した顧客との信頼関係を基盤とすることで、迅速な判断を可能としている。十店会の立ち上げと同時期に取り扱いを始め、2024年10月末時点の累計融資実績は、612件、約24億円に上る。
「ヤング十店会」は後継者や若手経営者が対象だ。事業性評価のポイントやマネジメントに関する勉強会、企業視察旅行などを通して、50歳以下の次世代を担う人材の育成に注力する。早期に後継者世代と信頼関係を築き、事業承継後の取引継続にもつながっている。
25年度は、年1回開く会長会議を東京都内で開催する予定。首都圏の有識者による講演会に、各会の会長と同信組の役職員が出席。県外の知見も広く取り入れ、一丸となって地域の活性化に取り組む。
会長会議であいさつをする須佐理事長(福島県商工信組提供)
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