福島県の高湯温泉が「源泉かけ流し宣言」を行った。1日、福島県庁でセレモニーを行い、同温泉観光協会の遠藤淳一会長が佐藤雄平知事に「ありのままの本物の温泉を今後も守り続ける」とする宣言文を読み上げた。同様の宣言は全国8カ所の温泉地で行っているが、東北地方では初めて。地元観光協会では宣言をアピールするロゴマークとポスターを作成、各旅館などに掲示し、誘客につなげる。
セレモニーには観光協会の遠藤会長(高湯温泉旅館協同組合理事長、今昔ゆかしき宿 吾妻屋)、立会人として、宣言を提唱する札幌国際大学の松田忠徳教授らが出席した。
遠藤会長は、「豊富な湯を源泉かけ流しでお客さまに楽しんでいただけることが私たちの誇り」「豊かな自然に長い間育まれてこんこんとわき出してくる温泉をこれからも楽しんでいただけるよう守り続ける」とする宣言文を朗読。
佐藤知事は「これを機に県の温泉の魅力がいっそう増してくると思う。多くの人に来ていただけるよう、私も営業をしていきたい」とこたえた。
「源泉かけ流し」とは、「源泉から自然に湧出または機械的にくみ上げた温泉を浴槽に加水・加温せずに供給し、浴槽からあふれ出た湯を循環せずに排出すること」で、「源泉かけ流し宣言」をする場合には、「当該温泉地の入浴・宿泊施設すべてが源泉かけ流しである必要がある」とされている。
全国では6年前に十津川温泉郷(奈良)が初めて宣言。その後、川湯(北海道)、摩周(同)、ぬかびら(同)、関(新潟)、野沢(長野)、渋(同)、長湯(大分)が宣言をしている。
高湯温泉は福島市西部の吾妻山麓中腹にある秘湯。入浴施設は旅館9軒と共同浴場1軒がある。以前からすべての施設が源泉かけ流しで営業しており、「宣言」の条件を満たしていた。
セレモニー後の記者会見で松田教授は「かけ流しだけでなく、すべての源泉が自然湧出なのも素晴らしい。理想的な温泉地で、今後なかなか出てこないのでは」と話した。
遠藤会長は「十津川などの例を見て、ゆくゆくは『宣言』をしたいと思っていたが、昨年、松田先生が高湯に見えた時に推薦を受け、今日に至った」とこれまでの経緯を説明。今後は「温泉のよさを改めてPRしたい」として、今回新たに作成した宣言をアピールするロゴマークとポスターを旅館などに掲示するとともに、他の温泉地と連携した誘客活動なども行いたい考えを示した。
佐藤知事(左端)に宣言文を読み上げる遠藤会長(中央。右端は立会人の松田教授)