高知県、バリアフリーアドベンチャープロジェクト展開


インフルエンサーの眠梨さんが「OriHime」使い遠隔交流

分身ロボ活用し、不安払拭

 高知県では、アドベンチャーツーリズム(AT)の取り組みを昇華し、誰もが体験を可能にすることを目的とした「高知バリアフリーアドベンチャープロジェクト」を展開している。観光庁が進める「令和3年度 来訪意欲を増進させるためのオンライン技術活用事業」の一環として実施。分身ロボットを活用したリアルに近いオンラインアドベンチャーツアーを通じて「行くこと」「体験すること」に不安を抱える障害者、高齢者の不安要素を払拭(ふっしょく)するなど、来訪意欲の増進を図っている。

 高知県は、これまで整備してきた「自然」「歴史」「食」の観光基盤をフル活用した「リョーマの休日」キャンペーンを展開するなどアドベンチャーツーリズムを推進。障害者、高齢者向けに「高知バリアフリー観光相談窓口」の設置、「高知のバリアフリー観光専用サイト」を構築するなど、バリアフリー観光の推進にも取り組んでいる。

 同プロジェクトでは、磨き上げてきた自然体験やアクティビティなどの観光素材を、障害者でも体験できるプログラムの紹介や、受け入れ態勢のさらなる整備を実施。主に、(1)観光資源対象事業者向け「バリアフリー観光推進セミナー」(2)観光資源のバリアフリー対応の視察と対応アドバイス(3)オンラインツアーの企画・実施―などの取り組みを行っている。

 バリアフリー観光推進セミナーは、昨年11月22日に「高知のおもてなしで誰もが楽しめるアドベンチャーツーリズム」をテーマに高知市内で開講(リモート参加あり)。講師にはユニバーサルツーリズムアドバイザーでoffice FUCHIの渕山知弘代表、ゲストには高知県障害者スポーツセンターの北村大河所長を迎え、高知県が進めるバリアフリー観光推進事業や全国での事例などを説明した。


office FUCHIの渕山代表

 渕山代表は、今後バリアフリー観光を推進するポイントとして、(1)バリアが多いと思われがちなアクティビティへのひと工夫(2)目的までの交通、前後の宿泊との連動(3)DMOなど観光組織の主導による新たな顧客の創出―の必要性を訴え、「障害者にも優しい地域は、今後選ばれる地域になる」と説いた。

ロボットを使用し遠隔地と体験交流

 オンラインツアーは、発信者に足に障害を持ちながらも「多くの障害を抱えた方々が活躍しやすい社会」を目指しバリアフリー情報を発信しているインフルエンサーの眠梨桜さんを迎えて実施。

 東京トラベルパートナーズ(東京都渋谷区)が配信する介護旅行サービスとオンラインツアーを組み合わせた「旅介チャンネル」で、(1)室戸ドルフィンセンター(2)ヤ・シィパークでヨット体験(3)グラスボートで柏島海中散歩(4)カツオ藁(わら)焼き体験(5)クリスタルカヤック体験(6)海上筏(いかだ)で釣り体験―を計6回放映した。


インフルエンサーの眠梨さんが「OriHime」使い遠隔交流

 オンラインツアーの中では、オリィ研究所(同中央区)が提供するオンライン分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」が活用され、遠隔地の特別支援学校などとライブで結び、意見が交わされた。

 実際に体験の様子を伝えた眠梨さんは「初めて体験するものばかりだったが、全て感動した。最初は不安もあったが、受け入れ環境がしっかりあることで、安心して楽しめ、今後の旅への意欲にもつながる。現地に来られない人も楽しめるものであり、活動が広まってほしい」と話した。

 高知県は今後、受け入れ環境整備を進め、「バリアフリーアドベンチャープログラム」として、他にない高知観光の特色、魅力として発信していく予定だ。


バリアフリー観光の生配信を楽しむ特別支援学校の子どもたち


イルカと水中で触れあう眠梨さん

 
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