高速バスの企画、運営を行うウィラー・トラベルや高速ツアーバスサービスの受託販売を行う楽天バスサービスなど4社は6月26日、高速ツアーバスの企画、運行に携わる事業者が横断的な連携を図るための業界団体を、9月をめどに設置することを明らかにした。
業界団体「高速ツアーバス連絡協議会(仮称)」は、年間を通して高速ツアーバスを企画、実施する旅行会社、運行を担当する貸切バス事業者、受託販売する旅行会社で構成。業界団体を作ることで、各事業者がそれぞれの事業領域を超えて横断的に連携し安全性の向上を図るほか、国交省などの関係省庁との協議や情報交換を円滑に進めるのが目的。業界の規模や課題、要望などの調査を行うほか、道路運送法や旅行業法などの各業界についての知識を相互共有・理解を深め、安全運行を行うための教育・指導も行う。安全運行のためのガイドラインの策定も進める。
高速ツアーバスに携わる事業者に広く参加を呼びかけ、現在、企画実施旅行業者の約9割、貸切バス事業者の約5割が参加を表明している。
同日には連絡協議会に参加を予定する53社75人が出席し設立準備会を開いた。ウィラー・トラベル、オリオンツアー、ロータリーエアーサービスの3社が設立準備委員会として、楽天バスサービスが同委員会事務局として今後設立準備にあたる。村瀬茂高・ウィラートラベル社長は「ツアーバスは旅行業と運輸業の挟間にある事業。ツアーバスに携わる事業者が横並びになって課題に取り組める組織を作ることで、業界としての安全確保、品質向上を進め、ツアーバスが移動手段として認知されるようにしたい」と意欲を語った。
高速ツアーバスは募集型企画旅行の形態で企画、運行するもの。02年の規制緩和を受け、多くの新規事業者が参入。現在企画実施会社は約40社、バス運行会社は60〜70社、輸送人員は年間150〜200万人となっている。業界規模が拡大する一方で安全への取り組みなどは事業者が個別に取り組んでいる状況だが、07年2月に発生した大阪吹田市の貸切バス死亡事故以降、安全性の確保やサービス品質の向上に向けた業界としての取り組みが社会的要請として高まっていた。
会見する高速ツアーバス各社