高速バスマーケティング研究所(成定竜一代表)は12月5日、第5回「高速バス・マネジメント・フォーラム」を東京都内で開いた。バス事業者など145人が参加した。
成定代表=写真=は冒頭あいさつでフォーラム開催の目的について次のように語り、高速バスを取り巻く環境の厳しさに触れた上で、生き残るための変化を呼びかけた。
「地方の人の都市への足」として成長してきたこの国の高速バスにとって、地方部における沿線人口減少はそのまま市場縮小に直結する。さらに、高速バス市場の本丸である高頻度昼行路線で、同じ市場縮小に直面した競合交通機関が、本格的にレベニュー・マネジメントを導入し、競争力を強化して、高速バスの顧客を奪う事態こそ大きなリスクだ。
社員旅行や教育旅行など「社会的旅行」が減少するとともに、旅行者が成熟し、旅行形態が団体から個人へとシフトする中で、貸切バス市場の縮小も避けられない。
新高速乗合バス制度で示された「貸切バス型管理の受委託」「幅運賃」の仕組みは、高速ツアーバスで効果が実証されたレベニュー・マネジメントの手法を高速乗合バスでも活用するために導入されたものであり、これらを活用することで、現有顧客基盤の中で、収益性を高めることができるが、現時点では十分に活用されているとは言えない。
同フォーラムでは、「『自動運転バス』現在の課題と将来像」(SBドライブ・シニアプロジェクトマネージャー・大澤定夫氏)、「個人旅行(FIT)化が進むインバウンド取り組みに向けたバス事業者の戦略紹介」(GSE南薩観光・グローバルチームリーダー・スタディンキャメロン氏)、「バストリップをモデルチェンジする!『ハートツアー』は『LIMON』へ」(神姫バスツアーズ・取締役部長・阪田悦規氏)、「『ドリーム号』のブランド確立に向けたPR戦略」(西日本ジェイアールバス・取締役営業部長・林田広司氏)などの講演を実施。
さらに、成定氏が豊富なテレビ出演の経験から「バス事業者の広報(PR)の基礎」を、日本旅行業協会広報室長の矢嶋敏朗氏が、現職および日本旅行広報室長時代の経験から「クライシス(大事故等)時の報道対応」をそれぞれ講演した。