富山県はこのほど、新しい観光ルート「黒部宇奈月キャニオンルート」について、今年の一般開放・旅行商品化開始を延期すると発表した。能登半島地震の影響を受け、復旧工事の見通しが立たないことが原因。
元日の地震による落石で黒部峡谷鉄道の鐘釣橋が損傷。全線開通（宇奈月―欅平）を10月ごろと見込んでいたが、県によると「（鉄道会社による）雪解け以降の詳細な現地調査の結果、落石防止対策などの復旧工事が当初の見込み以上に時間を要する」ことが分かり、今年は全線開通ができず、キャニオンルートも開始できない状況になった。
大手旅行業者は、「観光地としても人気のあるアルペンルートと黒部峡谷鉄道において目新しい素材になるのではないかと大いに期待していた。お客さまからツアー実施の問い合わせもすでに多数いただいており、注目度の高い素材だったので、（延期は）とても残念」と話す。
県は「キャニオンルートの一般開放・旅行商品化の開始日、および旅行商品の販売開始日については、鉄道の全線開通の時期が示された段階で改めて決定、案内する」としている。
キャニオンルートは、日本一のＶ字谷といわれる黒部峡谷から上流の黒部ダムに至る新たな観光の目玉として注目されていた。
