<日中首脳会談>安定的な関係構築で合意 =石破首相「発展へ可能性」習主席「外国人の安全確保」 ―中国政府、日本産水産物の輸入、短期滞在ビザ免除措置再開


石破茂首相は2024年11月15日、ペルーの首都リマで中国の習近平国家主席と会談。日中両国が共通の利益を追求する「戦略的互恵関係」に基づき、「建設的かつ安定的な関係」を構築することで合意した。会談の冒頭、習氏は「戦略的互恵関係を包括的に推進し、新時代の要求に合致する建設的かつ安定した中日関係の構築に取り組んでいきたい」と呼びかけた。これに対し石破氏は「日中両国は地域と国際社会の平和と繁栄に共に重要な責任を有している。両国の間には発展に向けた大きな可能性が広がっている」と応えた上で、「両国が戦略的互恵関係の包括的な推進と建設的かつ安定的な関係の構築に大きな方向性を共有することは、国際社会にとっても意義あるものだ」と強調した。

会談で両首脳は、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を巡る日本産水産物の輸入再開について、今後着実に実施していくことを確認した。また石破首相が中国・深圳での日本人男児刺殺事件を受けた在留邦人の安全確保策を求めたのに対し、習氏は「中国において日本人を含む全ての外国人の安全を確保する」と約束。今後もハイレベルの往来や首脳会談を重ねていくことで一致した。

中国は日本にとって最大の貿易相手国で、日中間の貿易・投資等の経済関係は緊密。環境問題やヘルスケアなどの国際的な課題は日中両国の協力が不可欠である。ハイレベルの往来は外相や国家安全保障担当トップ同士の間で再開されつつある。石破首相は「首脳同士の往来や会談が重要だ」と自身の訪中にも意欲的だ。

この日中首脳会談を受ける形で、中国政府は日本人が中国に入国する際の短期滞在ビザの免除措置を11月30日再開した。短期ビザ免除で滞在可能な日数は停止前の15日以内から30日以内に拡大した。

 

ペルー中部に巨大港湾が完成-「一帯一路」構想の一環

APECに先立ち、ペルー中部の太平洋岸チャンカイに中国資本主導で建設された巨大港湾が完成し、11月14日に開港式典が開かれた。中国の巨大経済圏「一帯一路」構想の一環で、南米とアジアとの海上輸送が直接連結した。この港はリマの北約80キロに位置し、中国海運最大手の中国遠洋海運集団が権益の6割を保有。ペルーだけでなく、中国との貿易関係を強める周辺国の利用も想定され、「南米のハブ港」となると期待されている。

習主席は「(港が)ペルーや中南米、カリブ海諸国の繁栄と幸福への道」になると表明。ペルーのボルアルテ大統領も「ペルーにとって歴史的な瞬間だ。世界クラスの物流、技術、産業の中心として国が強化される」とアピールした。総事業費は約34億ドル(約5300億円)。港の水深は17.8メートルと世界最大級のコンテナ船も寄港が可能だ。ペルー太平洋岸とアジアを結ぶ海上輸送は平均25日となり、従来に比べ約10日間短縮される。ペルーや隣国チリは銅の主要産出国。周辺ではリチウムも埋蔵量が豊富で、電気自動車(EV)に欠かせないこうした戦略物資の運搬に寄与すると期待されている。

<評者プロフィール>

1971年時事通信社入社。ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。Record China社長・主筆を経て現在同社相談役・主筆、人民日報海外版日本月刊顧問。日中経済文化促進会会長。東京都日中友好協会特任顧問。著著に「中国危機―巨大化するチャイナリスクに備えよ」など。

(記事提供:人民日報海外版日本月刊

 
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