HIS、売上高が過去最高7286億円 19年は海外、M&A拡大


発表する澤田会長

 エイチ・アイ・エス(HIS、澤田秀雄代表取締役会長兼社長)は12月11日、「2018年10月期(17年11月1日~18年10月31日)」決算を発表した。連結業績は、売上高が前年比20.2%増の7285億5400億円、営業利益は同13.3%増の180億2400万円、経常利益が同1.1%減の194億4千万円、当期純利益が同17.3%減の109億7100万円だった。売上高は過去最高を記録した。一方、経常利益と純利益は為替差損5億円の計上や、ウォーターマークホテル札幌、アジアアトランティックエアラインズによる特別損失35億円で減益となった。

 営業拠点数は、国内が前年比10カ所減の276拠点、海外が1カ所増の272拠点。従業員数は122人増の1万7054人。グループ会社数は17社増の191社。

 旅行事業、ハウステンボスグループ、ホテル事業、九州産交グループなどのセグメント別業績も開示。

 旅行事業は、売上高が21.3%増の6513億300万円、営業利益が22.7%増の121億4600万円。ハウステンボスグループは、売上高が18.8%増の436億9千万円、営業利益が5.4%減の72億7300万円。ホテル事業は、売上高が47.2%増の120億3900万円、営業利益が5.7%増の8億800万円。九州産交グループは、売上高が2.9%減の219億4100万円、営業利益が29.3%減の3億9800万円だった。

 旅行事業では、海外現地法人が、今期に子会社化したカナダのツアーオペレーター「ジョンビューカナダ」が新規連結するなど、昨季から続くM&A効果で売上高が58%拡大。日本発海外旅行は、関西空港の閉鎖やグアムの減便などの影響があったが、欧州や韓国の需要継続で16%増と堅調に推移した。訪日旅行事業は、地震、台風などの影響があったが、個人旅行が好調に推移し、売上高が80%増の成長を見せた。海外旅行の方面別送客数では、グアムが減便の影響で23%減となったが、欧州、中近東が16%増となり、長期旅行が好調だった。中森達也取締役専務執行役員は「M&Aと内部成長で成長を拡大する。海外の売り上げが日本国内シェアの50%取れるようにビジネス展開していく。今後は添乗員付きツアー、個人旅行のツアー、クルーズを強化する。19年は、7千億円、20年は8500億円を達成する」と説明した。

 旅行事業の今後の取り組みは、日本での旅行事業では法人旅行事業、ウェブ、訪日事業を成長分野と位置付けて展開。法人旅行事業では1千人規模で展開。現在の売上高800億円を3年で1200億円まで伸ばす。海外事業ではグローバルインバウンドオペレーターなどM&Aの推進のほか、グローバルインバウンドプラットフォームを構築し、海外拠点で日本人向けに販売していた商品を全世界のメタサーチ、ランドオペレーター、OTAなどを通じて販売するなどして外国人からの売り上げ拡大を図る。

 ハウステンボスグループは、HTBエナジーが堅調に推移するも、悪天候に夜テーマパークの入場者数減などが影響し、営業利益が減少した。澤田会長は「九州は人口減少が進んでいる。海外から100万人規模でクルーズを招聘(しょうへい)し巻き返す」と意気込んだ。

 ホテル事業は、第3四半期に子会社化した台湾のグリーンワールドホテルグループや「変なホテル」の開業により好調だった。澤田会長は「今後は大きな柱として海外展開も含め、10年後には1千軒を目指す」と述べた。現在は30軒(9月30日時点)を稼働しているが、2年後には50軒を運営し、売上高167億円を見込んでいる。投資額は年間200億円、4年で800億円程度の設備投資を計画している。

 九州産交グループは、熊本地震後の復興需要の反動減や軽油価格の高騰の影響を受け、営業利益が減少した。「来年9月に開業する桜町(熊本市)の再開発事業に期待している」と澤田会長。

 19年10月期の業績予想は、売上高が7860億円、営業利益が200億円、経常利益が210億円、当期純利益が110億円。

クレカ手数料削減へ 銀行業への参入検討

 澤田会長は、銀行業への参入を検討し、調査、準備していると発表。クレジットカードなど年間数億円の手数料を、自社でネット銀行を運営することで削減する狙いだ。

発表する澤田会長

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第38回「にっぽんの温泉100選」発表!(2024年12月16日号発表)

  • 1位草津、2位道後、3位下呂

2024年度「5つ星の宿」発表!(2024年12月16日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第38回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2025年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2024年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2025年1月13日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒