上限3ヵ所、決定は2021~22年か
統合型リゾート(IR)の誘致へ、全国の自治体がさまざまな動きを見せている。観光庁が昨年9月、誘致の資格がある都道府県と政令市を対象にIRの区域整備計画の認定申請に関する意向調査を行ったところ、9自治体8地域が「認定申請を予定または検討している」と回答した。ただ、北海道が昨年11月、自然環境への影響などを理由に誘致断念を表明。現在は7地域が有力候補地とされている。
千葉市は現時点では検討中の立場だが、同市の企業団体から幕張新都心への導入が提案されている。市ではIRに関する経済効果などの情報も公募しており、判断材料の一つにするとしている。
かつて誘致に熱心だった東京都は、現在は検討中と慎重な立場。昨年10月には官民の若手チームからIR整備を含めた江東区青海の臨海部開発案が提出されている。
横浜市は昨年8月、林文子市長がIR誘致を正式に表明。山下ふ頭に2020年代後半の開業を見込む。ただ、同ふ頭を拠点とする港湾事業者から反対の声が挙がっている。
名古屋市はIR候補地について「名古屋駅から20~30分圏内」などを想定しているとされ、河村たかし市長が昨年夏までに場所を明らかにする方針を示していたが、現在まで明らかにされていない。名古屋港エリアで探索中との報道もある。
大阪府と大阪市は、25年の万博会場となる「夢洲」でのIR開業を目指している。今春にも事業者を決定し、万博開催前の24年、第1期の開業を目指す。
和歌山県は18年に公表したIRの基本構想で、和歌山市の和歌山マリーナシティへのIR誘致を明言している。「多種多様な観光資源を背景にしたリゾート型IR」を目指す方針だ。
長崎県は24年、佐世保市ハウステンボスでのIR開業を目指している。昨年4月、県、市、ハウステンボスの3者で候補地について基本合意した。今後、事業者を公募し、年内にも決定する方針だ。
IR誘致を目指す自治体は、政府のIR整備に関する基本方針に即して実施方針を策定し、公募で決定したIR事業者とともに区域整備計画を国土交通相に申請する。政府は同計画を審査し、最大3カ所を認定する。申請期間は21年1~7月、開業地域の決定は21年夏以降から22年ごろの見込みだ。