JALは、グループ連結売上高が前年同期比65.3%減の4812億円、EBIT(利息および税金控除前利益)が3983億円の赤字だった。コスト削減や国の支援の活用を行うも、新型コロナの影響による大幅な旅客減が響いた。貨物は海上輸送の混雑に対する対応、貨物専用機の増便などで需要を取り込み、前年を上回った。
国際旅客の売上高は同94.2%減の279億円に。新型コロナの影響による入国制限や検疫体制の強化で、国境をまたぐ移動需要がなくなり、前期を大きく下回った。一方、帰国者や海外拠点への赴任者、アジア発北米行きの通過需要に応え、国際線ネットワークを維持した。
国内旅客の売上高は同67.2%減の1740億円に。Go Toトラベル事業の開始で第3四半期には一時的に観光需要を取り込むも、第1、4四半期では緊急事態宣言の発令による移動自粛の影響を受けるなど需要が低迷した。
自己資本比率は45.0%を確保。営業キャッシュフローは、第1四半期のマイナス1302億円から第4四半期にはマイナス396億円と大幅に改善した。21年3月期末での手元流動性は、現預金4083億円に未使用のコミットメントライン3千億円を加えた計7千億円を確保。キャッシュバーンは22年3月期の第1四半期は月額約100~150億円程度に圧縮できると予想している。
ANAは、売上高が同63.1%減の7286億円、営業損益が4647億円の赤字だった。新型コロナの影響による移動の激減で、旅客需要が減退し、前年を大幅に下回った。貨物は海上輸送の混雑などで高まった需要を積極的に取り込み、収入は過去最高となった。
国際旅客の売上高は同92.7%減の447億円に。新型コロナの影響による入国規制で需要が著しく低迷し、前期を大幅に下回った。一方、大規模な運休、減便を継続する中、海外赴任、帰任などの需要動向を見極め、運航継続路線の選択や臨時便の設定などに努めた。
国内旅客の売上高は同70.1%減の2031億円に。新型コロナの影響を大きく受け、旅客数、収入とも減少した。5月の緊急事態宣言以降は、回復傾向に。第3四半期は、Go Toトラベルキャンペーンの効果もあり同61.4%となった。7月には日程や行き先の変更の際に手数料がかからない「あんしん変更キャンペーン」を実施するなど、機能を拡充した。
LCCは、売上高が同73.1%減の220億円に。新型コロナの影響で減少に転じた。8月以降には、新たに10路線を新規開設した。
21年3月末時点では、十分な手元流動性を確保している。今後は航空機などの整備投資を精査、抑制するほか、実施時期の見直しを行いキャッシュフローを改善する。
22年3月期の連結業績予想は、JALは新型コロナの状況の先行きが不透明なことから算出を見合わせ、ANAは売上高1兆3800億円、営業利益280億円、当期純利益35億円と予想している。