JR4社とも前年比増 第3四半期決算


九州は黒字化、他3社は赤字に

 JR東日本、東海、西日本、九州の上場4社はこのほど、2022年3月期第3四半期(21年4月1日~12月31日)決算を発表した。東日本、東海、西日本は、純損益が赤字となるも、九州は黒字化。旅客需要における前年度の新型コロナウイルスの影響からの反動による緩やかな回復や、不動産事業での販売拡大などから、4社とも業績を改善した。通期決算予測は、JR九州を除く3社が2年連続の赤字を予想している。

JR東日本 純損失2108億円改善

 JR東日本の第3四半期決算は、売上高が前年同期比13.5%増の1兆4827億9400万円、営業損失が425億3500万円、経常損失が660億4千万円、純損失が837億5100万円に。純損失は、赤字額を前年同期比で2108億3900万円改善した。

 運輸事業では、新型コロナウイルスの感染防止対策の徹底と安全、安定輸送およびサービス品質の確保にグループの総力を挙げて取り組んだ。ホームドアの設置工事は、12月末までに76駅(線区単位では87駅)の整備を完了。ワクチン接種証明書やPCR検査の陰性証明書を活用した団体専用臨時列車や限定旅行商品などを設定した。このほか、スノーレジャー需要を喚起するため「JR SKISKI」30周年に合わせて記念キャンペーンを実施した。

 流通・サービス事業では、駅を交通の拠点から「ヒト・モノ・コト」がつながる暮らしのプラットフォームへと転換する「Beyond Station構想」などを推進。シェアオフィス事業「STATION WORK」は、管外にも「STATION BOOTH」の設置を進め、12月末までに341カ所に拡大した。10月からは、「JRE MALL」で地域での飲食や買い物などで利用できる電子チケット「エキトマチケット」を販売した。11月には愛知で「KINOKUNIYA名古屋名鉄百貨店」を開業した。

 不動産・ホテル事業では、大規模ターミナル駅開発や沿線開発など「くらしづくり(まちづくり)」を推進。12月に不動産事業で回転型ビジネスモデルを開始するほか、西武ホールディングスとの包括的連携の一環として、日本ホテルが「西武園ゆうえんち」などの入園チケット付き宿泊プランを販売した。このほか、Suicaの利用シーンのさらなる拡大、「MaaSプラットフォーム」の拡充などに取り組んだ。

 22年3月期通期決算予想は据え置き、売上高が2兆570億円、営業損失が1150億円、経常損失が1600億円、純損失が1600億円。

 

JR東海 営業損益が黒字化

 JR東海の第3四半期決算は、売上高が前年同期比13.8%増の6863億8900万円、営業利益が371億7300万円、経常損失が147億1千万円、純損失が123億2600万円。鉄道事業において、サービスの充実や新しいスタイルの提案による需要喚起を行うほか、設備投資を含めた業務執行全般にわたるコスト削減、ICTを活用した業務改革に取り組み、営業利益が黒字化した。

 営業施策では、感染拡大防止の一環として、東海道・山陽新幹線のネット予約・チケットレスサービス「エクスプレス予約」「スマートEX」の利用促進に努めた。また、旅行全体をシームレスに予約、決済できる新サービス「EX―MaaS(仮称)」の展開に先立ち、チケットレスサービスの画面から沿線のホテルなどの各種コンテンツにリンクするポータルサイト「EX旅のコンテンツポータル」を開設した。新しい旅として提案している「ずらし旅」「推し旅アップデート」は、特設サイトなどで発信するとともに、旅行商品の販売などを行った。このほか、車両内でワーキングスペースを確保した「S Work車両」の試行、新しい無料Wi―Fiサービス「S Wi―Fi for Biz」を始めた。

 流通業では、感染拡大防止に取り組みながら、「ジェイアール名古屋タカシマヤ」「タカシマヤ ゲートタワーモール」で顧客ニーズを捉えた営業施策を展開し、収益の確保に努めた。また、大名古屋ビルヂングに高級時計売場を出展するほか、引退した新幹線車両のアルミニウムを再利用した「新幹線再生アルミ」を建材、内装材として販売し、マテリアルリサイクルに取り組んだ。

 不動産業では、静岡駅「アスティ静岡西館」や高蔵寺駅「アスティ高蔵寺」のリニューアルを完了するなど、競争力の強化に取り組んだ。また、社宅跡地などの開発で宅地分譲の販売や、ワークスペース事業「EXPRESS WORK」を始めた。ホテル業では、感染拡大防止に取り組みながら、高品質なサービスの提供に努めた。

 旅行業では、ずらし旅と連動し、京都、奈良、東京、飛騨などの各方面に向けた旅行商品を販売するほか、推し旅アップデートとして各種事業者と協力した新たな観光プランを販売した。

 22年3月期通期決算予想は据え置き、売上高が1兆80億円、営業利益が370億円、経常損失が330億円、純損失が300億円。

 

JR西日本 需要増で赤字幅縮小

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