政府は12月24日、08年度予算案を閣議決定した。国土交通省総合政策局観光部門の予算額は、前年度予算とほぼ同額の63億円に決まった。このうち国際観光振興機構の運営費交付金などを除く、施策の推進のための観光立国予算は前年度予算比3%増の42億4千万円。同局内の情報管理部にある観光関係予算を含めると、観光立国予算は42億7千万円になる。
観光庁設置後は、これらの予算が観光庁に引き継がれる予定。
新規施策には、滞在型観光を推進する観光圏整備促進事業、旅館業などの新たなビジネスモデル構築を実証する観光産業イノベーション促進事業などを盛り込んだ。
観光圏整備促進事業には2億8千万円を計上した。通常国会に提出する新法案「観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律(仮称)」に基づく施策で、国内外の観光客の宿泊旅行回数と滞在日数を拡大するため、複数の市町村にまたがる「観光圏」の整備に対して事業費を補助する。
観光地づくりを支援してきた従来のルネサンス事業は、前年度予算比62%減の1億4千万円で、08年度は継続案件へ補助が中心となる見込み。観光地づくりの施策は新法に基づく新規事業が中核になっていく。
観光産業イノベーション促進事業費は2千万円。複数事業者などによる新たなビジネスモデルの構築に向けた試みを公募して支援する。宿泊産業の生産性向上が立ち遅れていることから、旅館の客室稼働率向上に向けた取り組みなどが支援対象に想定されている。旅行会社から返却された客室を複数旅館がインターネット上で共同販売するシステムの構築などを事業事例に挙げている。
ビジット・ジャパン・キャンペーンが6年目に入る訪日外客誘致では、持続的に客数を伸ばすため、顧客満足度の向上によるリピーターの増加を目指した「ビジット・ジャパン・アップグレード・プロジェクト」を新たに展開する。事業費は30億3千万円。
国際会議の開催・誘致の推進費は、新たな支援策を盛り込み、3億7千万円を計上した。決定権者に開催を働きかける説明会やレセプションを国交省が共催することで誘致を支援する。