日本生産性本部は7月30日、「レジャー白書2009」を発表した。白書によると、08年は後半から景気が低迷する中、余暇活動の参加は「日常型レジャー」へシフトし、余暇市場規模は前年比2.4%減の72兆8760億円となり、6年連続で前年を下回った。白書は「観光・行楽部門、娯楽部門の落ち込みが目立ったが、ランニング用品や携帯ゲームなど堅調な市場も見られた」と分析している。
観光・行楽部門全体の市場規模は同2・1%減の10兆4780億円。このうち、国内観光・行楽は同1.3%減の6兆6530億円となった。業種別に見ると、会員制リゾートクラブを除き、軒並み減少した。
旅行業の取扱額(手数料収入)は同5.5%減の6850億円。「国内旅行のマイナス2.2%に対し、海外旅行は同4%と落ち込みが大きかった」と白書。メディア通信販売やインターネット販売については「取扱額は増加しているが、競争激化で収益は悪化」とした上で、「特にインターネット販売は人気サイトへの集中と淘汰が進んでいる」と見ている。
市場を着実に拡大してきたホテルだが、経済不況で稼働率も低下し、08年は同5%減の1兆380億円とマイナスに転じた。「外国人旅行者の激減で、近年都市部に急増したラグジュアリータイプの外資系ホテルは軒並み苦戦している」。
一方、旅館は同6%減の1兆7610億円と市場規模の縮小に歯止めがかからない。「不況下でも小規模施設の中には堅調なところがあるが、大規模施設には変化に対応できていないところも目立つ」と言う。
不況下での“巣ごもり消費”が伝えられるところだが、08年に実際大きく伸びたのは、単価が安く、家庭や近所で何度でも参加して楽しめる、いわゆる日常型レジャーだった。
参加人口上位20位の5位に入ったパソコン(ゲーム、趣味、通信など)の約400万人増を始め、ビデオの鑑賞やテレビゲームなどインドア系レジャーでは大幅に参加人口が増加した。
1位は外食の7370万人(前年と比べ170万人増)。国内観光旅行(避暑、温泉など)は2位に入り、6020万人(同320万人増)に。しかし、「支出や宿泊数は低調」と白書は指摘する。
将来の参加意向を示す「参加希望率」は1位国内観光旅行、2位外食、3位ドライブとなった。注目されるのは海外旅行の動きで、80年代後半以来4位をキープしていたが、08年は5位に順位を落とし、パソコンに抜かれた。白書は、「非日常レジャーの代表的種目が日常型レジャーの代表的種目に抜かれるという点で、このところのレジャーの傾向を表す象徴的な結果になったといえる」としている。