日本政府観光局(JNTO)が16日に発表した今年1月の訪日外客数(推計値)は、前年同月比52.0%増の185万2千人だった。1月として過去最高を記録。月間では昨年7月の191万8千人に次ぐ過去2番目の実績となった。韓国と豪州が月間の最高を更新。中国は学校休暇の開始が昨年より早かった影響もあり、前年同月の2倍になった。
1月の訪日外客数の77.5%を占める東アジアを市場別に見ると、韓国が48.3%増の51万4900人で、月間で初めて50万人を超えた。温泉地が多い九州、温暖な沖縄などが人気で、釜山発着の航空路線の拡充などが旺盛な旅行意欲を吸収した。
中国は110.0%増の47万5千人。学校休暇の開始時期が15年は1月末だったが、16年は1月20日ごろだったため、家族旅行の需要を前倒しで取り込んだとみられる。このほかクルーズ船の寄港が前年同月の4隻から24隻に増加。航空路線も深圳―成田、成都―成田、南通―名古屋などが拡充された。
台湾は47.9%増の32万1千人。台湾総統選挙や旧正月休暇を前にした旅行控えが一部発生したが、LCC(格安航空会社)の新規就航と増便などが需要を喚起した。1月以降の需要喚起に向けてJNTOは、台湾の人気女優を起用して東北地方を訴求するプロモーションを展開した。
香港は42.5%増の12万5千人。例年はクリスマスと旧正月のはざ間でオフシーズンとなるが、訪日旅行は好調だった。ビジット・ジャパン事業では、現地の旅行番組を通じて中部・北陸地方をPRしたほか、旅行雑誌を東北に招請する事業を展開するなど、地方への誘客を強化している。
欧米豪では、米国が22.3%増の7万5900人。安定した為替水準と燃油サーチャージの無料化、航空路線の拡充などがプラス要因。豪州は15.5%増の5万6100人でスキーと観光を組み合わせた滞在が人気。シドニー―羽田線などの拡充が訪日需要を喚起した。英国は17.1%増の1万7600人、フランスは20.6%増の1万2100人だった。
東南アジアは、タイが36.5%増の6万1100人。LCCを利用したツアー商品が人気で、旅行先の多様化と企業間の価格競争が進んでいる。マレーシアは60.8%増の1万9800人。エアアジアXの新千歳線が就航した昨年10月以降、北海道への旅行者が増加している。フィリピンは30.3%増の1万8800人だった。