2019年1月の訪日外国人旅行者数は、前年同月比7.5%増の268万9千人で1月として過去最高を記録した。日本政府観光局(JNTO)が2月20日に発表した推計値。航空座席供給量の拡大、2月初旬の春節(旧正月)に向けた訪日需要の高まりなどで中国、台湾が好調だったが、韓国、香港は前年同月の実績を下回る結果だった。欧米豪、東南アジアは全体として堅調だった。
中国は19.3%増の75万4千人で1月として過去最高となった。18年の春節は2月中旬だったが、19年の春節は2月初旬となったため、1月末の旅行需要が高まった。19年1月の個人査証(ビザ)の要件緩和などで、18年7月以来、6カ月ぶりに前年同月比で2桁の伸び率を記録した。
台湾は10.5%増の38万8千人で1月の過去最高を記録した。地方への新規路線、チャーター便の就航に加え、「北海道ふっこう割」を利用した旅行商品や春節休暇の前倒し需要があり、18年4月以来、9カ月ぶりに2桁の伸び率となった。
一方で韓国は3.0%減の77万9千人。航空路線の拡充、日本国内で起きた自然災害の影響の沈静化などで1月として過去2番目の実績だったが、前年同月を下回った。訪日旅行のマイナス要因としてJNTOは「韓国経済の低迷」「韓中関係改善による中国への渡航需要の回復」を挙げた。
香港も3.9%減の15万4千人とマイナス。JNTOは、訪日旅行のマイナス要因に「米中貿易摩擦による市民の消費マインドの悪化」「香港と中国大陸を結ぶ高速鉄道と港珠澳大橋が開通し、中国へのより安価な旅行が選択可能となったこと」などを指摘した。
韓国、香港の動向について観光庁の田端浩長官は、2月20日の専門紙向け会見で「韓国は自然災害の影響は落ち着いているにしても、力強い回復基調には戻っていないので、さらによく分析したい。香港も地方路線の新規就航などを踏まえ、地方の魅力などを積極的に発信し、回復に努めていく」と述べた。
東アジア以外では、豪州がスキー旅行の人気などで16.0%増の8万1千人となり、1カ月当たりの最高値を更新。1月として過去最高を記録したのは、米国、英国、フランス、ドイツ、ロシア、スペイン、タイ、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インド。米国はクルーズ旅行などが好調で12.2%増の10万3千人。航空路線の新規就航などでタイが12.1%増の9万3千人、ベトナムが27.8%増の3万5千人、フィリピンが13.5%増の3万6千人となった。
一方、19年1月の出国日本人数(JNTO推計値)は、前年同月比2.0%増の145万2千人となった。